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糸井 |
シルク・ドゥ・ソレイユには
いろんなスタッフがいらっしゃいますけど、
その人たちが
それぞれどういうことができるのかを、
外から入ってきたジラールさんは
よく知らないところからはじまりますよね。 |
ジラール |
シルク・ドゥ・ソレイユのショーは
ほとんどすべてがそうなっているんですが、
内部と外部の人間がチームを作って
演出をやり遂げます。
私は外部の人間ですが、ショーを作っていく中で
いろいろなスタッフと
やり取りをしなければいけません。
そこで、ほんとうにいちばんの要となるのが
ディレクター・オブ・クリエイション
という立場にいる、
リン・トランブレーという者です。
リンは、20年間ほど
シルク・ドゥ・ソレイユと
関わりを持っている人で、
シルク・ドゥ・ソレイユの
やり方のイロハを私にすべて教えてくれました。
アクロバットのこともよくわかっていますし、
マシーンのことも知り尽くしています。
機械の使い方ひとつとっても、
間違えるとあまりよい方向にはいきません。
ですから、リンの意見を取り入れて行くことは
とても重要です。
リンとは、初期から
ありとあらゆるアイデアを共有してきましたし、
この3年のあいだ、リンはほんとうに
いいパートナーとして、私に接してくれました。 |
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糸井 |
では、リンさんとは
たえず話し合いを? |
ジラール |
おっしゃる通りです。
はじめのうち、リンと私に
どういう会話があったかというと、
どのアクトをいちばんはじめに持ってくるか、
というような、具体的なことです。
そこがショーを象徴する、
すべての入口になりますから。
実は、3年ほど前に、すでに
アクトの順番は決まっていました。 |
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糸井 |
3年も前にですか。 |
ジラール |
はい(笑)。
シルク・ドゥ・ソレイユには、ほんとうに
いろんなアクトがありますでしょう。
ほかのショーを観て、
個人的にこのアクトを入れたい、などと
リンに相談しました。
リンは、「ああ、いいと思う」
と言うこともあれば、
「こっちのほうがいいんじゃないかな?」
と言うこともありました。
そういうふうに、アクトに対して
とてもフェアな意見を交換していきました。
そうしていちばんはじめのアクトが決まって、
ふたつめを考えます。
ふたつめのアクトというのは、
かなり人を惹きつけるような
大きなアクトでないといけません。
ショーのイメージを膨らませることと同時に、
そういった細かい話し合いを
常にリンと持つようにしていました。
これはほんとうに意味がある、
重要なプロセスでした。
‥‥あ、リンです。 |
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リン |
こんにちは。 |
糸井 |
あ、一緒に
入ってもらおう。 |
ジラール |
デュエットですね。 |
糸井 |
今ちょうど、あなたが重要だというお話を
聞いてたところです。 |
リン |
あ、それはよくわかってます(笑)。 |
ジラール |
(笑)いやあ、今ここに
リンが来るってわかってれば、
こんなに大袈裟には言わなかったよ(笑)。
今日の午後も会議を予定してますから、
こんなに、評価を高くしてしまったら
言いたいことも言えなくなってしまう(笑)。 |
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一同 |
(笑) |
リン |
いいえ、公平だと思いますよ。
というのも、私は先ほどまで、
別のインタビューに応じていたんですが、
あなたの話をずーっとしてましたから。 |
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(つづきます)
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