6月23日は沖縄慰霊の日です。
沖縄戦が終わったこの日にあわせて、
出演する役者さんたち、
「マームとジプシー」の制作陣、
そして音楽担当の原田郁子さん、zAkさんらと一緒に、
また沖縄を訪れました。
役者さんは20代中心の女の子ばかりで、
いったい何の団体ですか、ときかれることも多かったです。
そして稽古だとわからないけど、
メイクをしておしゃれをすると、
みなさんの華やかで可愛いこと!

前回、マームとジプシーの『cocoon』スタッフと
訪れたときは10月でしたが、
今回は梅雨が明けたばかり。
ほぼ同じルートを廻りましたが、
今まさに夏がはじまったという、
緑の濃さや蝶の多さに圧倒されました。
すべてが濃い世界でした。
この時期に沖縄戦が終わったことや、
海まで駆け抜けた女の子達のことを想像しました。

南風原陸軍病院壕に至る「飯上(めしあげ)の道」は、
かつて、学徒隊の少女達が、
丘の下におりてご飯を炊き、
それをかついで病院壕へと運んだ道です。
マームとジプシー主宰の藤田さんの指示で、
同じこの道を駆け上がっていく役者さんたち。
すでに稽古ははじまっている!



病院壕の中で
ガイドさんの説明を聞く役者さんをみていると、
なんだかもう物語の中にいるような気さえしました。
壕を出て、広場の鐘を鳴らして手を合わせました。



この南風原陸軍病院壕に隣接する、
「南風原文化センター」
マンガを描くときにかなり参考にしました。
実際の病院壕の様子や
戦時下の南風原地区、沖縄南部のことなど、
沖縄戦のことを非常にわかりやすく学べると思います。
ぜひ訪れてみて下さい。

よく、戦跡ばかり巡っていると、
心霊現象に遭遇しないのですか、ときかれます。
たしかに、そういうような現象、あるいは
自分の思い過ごしのような不思議な体験はありました。
でも、もう、沖縄の戦跡では、
その場で亡くなった方がいる、
苦しんだ少女達がいたことがもうわかっているのです。
どこでも行く前に、
「失礼します」という気持ちで入るようしています。
お化けではなくて、
確かにそこにいるという単純な認識です。
相手とちょうどいい距離をとること、
どんな気持ちでいるか想像して、振る舞うこと。
生きている人間と同じです。
だから、わかろうとしてもわからないこともある、
でも、できるかぎり手を伸ばしたい。
それが『cocoon』のいちばん底の部分に
ある気がしています。

沖縄慰霊祭に参加したり、
フェリーで久高島に行ったりと
慌ただしく過ごした1日目の終わりは、
またもや秋田書店の編集者・金城小百合さんの
おじさん宅でホームパーティー。
お酒も入って、まだ数回しか
顔を合わせたことのなかった役者さんたちとも、
だいぶ打ち解けた感じがしました。
宿へ帰る途中、喜屋武岬に立ち寄りました。
沖縄戦で米軍に追い詰められた
多くの人たちが自決した場所です。
ちょうど満月で、海面は月の光に照らされていました。
みんな黙って月と海を眺めていました。
『cocoon』には、
自決したクラスメイトが椿組として出てきます。
後ろから役者さん達をみていると、
そんな椿組の姿が重なりました。



幻想的な夜でしたが、
役者さん達は翌日は7時集合で
平和祈念公園を海まで走るとのことでした。
ハードスケジュールでしたが、
きっと、稽古がはじまったらもっと忙しくなるはず‥‥。
ほんとうに、命がけかもしれません。




2013-07-09-TUE