きょうはありがとうございます。 わざわざお越しいただきまして、光栄です。 |
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吹石 | いえ、こちらこそ。 うちのマネージャーと仲良くしていただいて、 ありがとうございます。 |
とんでもないです、こちらのほうこそ。 ええと‥‥まずはご紹介を。 こちら、イラストレーターの福田利之さんです。 |
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吹石 | あ、カッパさん(笑)。 |
はい(笑)、 はじめまして、カッパです。 |
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で、福田さん、 もちろんご存じでしょうが、 こちらは女優さんの、吹石一恵さんです。 |
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よろしくお願いします。 ‥‥なんでしょう、あの、山下さん、 なぜ吹石さんが ぼくらのコーナーに 来ていただけることになったんでしょう? |
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それはとうぜんの疑問だと思います。 手短にご説明いたしましょう。 |
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お願いします。 |
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もう、1年近く前のことなんですけど、 ある日、吹石さんのマネージャーさんから メールを頂戴したんです。 そのメールに、 「そういえばほぼ日さんに うさぎ好きなかたがいらっしゃいますよね? 吹石もうさぎを飼ってるんですよ」 という一文が記されていたんです。 |
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あー、そこに山下さんが食いついた。 |
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はい(笑)、すかさずお返事をしました。 |
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吹石 | わたしのマネージャーも うさぎを飼っていたんですよ。 |
そうなんです。 お互い飼い主同士なものですから うさぎの話で意気投合しまして、 マネージャーさんとメールのやりとりを ずいぶんさせていただきました。 それで‥‥そうこうするうちに、 マネージャーさんのうさぎ、 ゴン太くんが亡くなってしまうんですよ。 |
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山下さんのとこのパンクも‥‥。 |
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ええ、ぼくが飼っていた パンクという名のうさぎも先日亡くなりました。 それからも、マネージャーさんとの 文通は続いていて、 「いつか吹石さんに、ほぼ日で うさぎのお話をしていただきたい」と、 ぼくはお願いし続けてたんです。 |
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なるほど。 |
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つまり、きょうはついに、 それがかなったというわけです。 |
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吹石 | そうですね、ついに。 |
ようやくお会いできました。 |
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吹石 | うれしいです、ほんとに。 |
それで‥‥。 さっきからあそこに‥‥。 |
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きょうの主役、 吹石さんちの、大吉くんです! |
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吹石 | キーちゃん(大吉くんの愛称)、 ほら、カッパのお兄さんがいるよ。 |
おとなしいなあ(笑)。 |
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ほんま、かわいらしいですねえ。 きょとんとしはって(笑)。 |
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吹石 | のんびりしたコなんですよ。 あと、いま眠いみたいです(笑)。 |
‥‥あ! それとそうだ、福田さん、 ぼくと吹石さんには、 すばらしい共通点があるんです。 |
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吹石 | そうそう、『うさぎの時間』。 |
『うさぎの時間』? |
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うさぎの専門誌です。 これこれ。 |
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ほお‥‥。 |
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こちらの創刊2号に、 吹石さんと大吉くんが 巻頭インタビューに 登場しているんです、ほらぁ! |
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あ、ほんまや。 |
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ね? すばらしいでしょ? |
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吹石 | このときはもう、 私の顔なんかどうでもいいから、 大吉がかわいく撮ってもらえるように 一所懸命で(笑)。 |
女優さんなのに(笑)。 |
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大吉くん、かわいいですよー、ほら! |
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写真/井川俊彦 協力『うさぎの時間』(誠文堂新光社) |
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あ、かわいいですねー。 |
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うちのうさぎも、 この、5号に載せていただいたんです。 |
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へえーーー。 |
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カメラマンのかたに 写真のプリントをいただきました(自慢する)。 |
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吹石 | へえー、わあ! |
もう、素直にうれしかった。 |
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吹石 | かわいいー! |
写真/井川俊彦 協力『うさぎの時間』(誠文堂新光社) |
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ありがとうございます。 |
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吹石 | ロップイヤーですよね? |
はい、耳が垂れた種類です。 |
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吹石 | ていうかこの、パンクちゃんを抱っこしてる 山下さんがまた、たまらない(笑)。 |
写真/井川俊彦 協力『うさぎの時間』(誠文堂新光社) |
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ある意味、たまらないですね。 40過ぎのおっさんが(笑)。 |
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ほんとだね、おっさんがね(笑)。 |
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吹石 | いやいやいや、 そんなことないですよー。 あ、これもかわいい。 |
写真/井川俊彦 協力『うさぎの時間』(誠文堂新光社) |
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‥‥あの、山下さん、 こんなこと言うのはあれなんですが‥‥。 |
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なんでしょう。 |
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せっかく吹石さんが 「ほぼ日」に登場されるのに、 ぼくなんかいないほうがよかったんじゃ‥‥。 |
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福田さん‥‥そんなこと言わないでください。 これは、 「カッパとウサギのコーヒーさがし」 じゃないですか。 |
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はい。 |
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「カッパとウサギの」なのに、 いっつもカッパの話ばかりでしょう? |
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‥‥え? |
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ウサギの話はちっとも出てこず、 カッパばっかり! |
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あのですね‥‥ |
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不平等! |
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ちょ、ちょっと山下さん(笑)、 それは山下さんのさじ加減というか、 山下さんが自分で カッパカッパ言うからやないですか(笑)。 |
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それはそうかもしれないですけど‥‥。 でも、このコーナーに吹石さんをお招きすれば 思う存分、うさぎの話ができると、 そう思ったんですよ。 |
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そうですか‥‥。 ただ、うさぎのことをよく知らないぼくが、 お邪魔にならないか、それだけが心配で。 |
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吹石 | あのぉ‥‥ もしかしたら福田さんは、 うさぎがあまりお好きではない? |
や、そんなことはないんです! 好きなんです、飼ったことかてありますから。 |
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え、うそ! はじめてきいた! |
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‥‥いや‥‥あの‥‥むかし。 |
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えーー、そうだったんですか。 |
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吹石 | いつごろ飼われてたんですか? |
幼稚園のころです。 |
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そうかぁ、 福田さんも飼ったことがあったんだぁ。 |
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いや、でも‥‥ これはほんとに言いづらいんですけど‥‥。 |
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‥‥なんですか? |
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あの‥‥ すぐに死んでしまったんです。 |
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吹石 | ‥‥ああ。 |
‥‥すぐに? |
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あっという間に。 |
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それは、どういう飼い方で? |
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あれは、外でした。 |
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外で。 どうして亡くなったんでしょう? |
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いや、それは‥‥。 |
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吹石 | 言ってください。 |
あの‥‥。 |
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吹石 | カラスですか? 野犬ですか? |
いやいや、そういうのではなく。 理由はわからず、 すぐに死んでしまったんです。 |
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吹石 | そうですか‥‥。 |
それ以来、動物が飼えなくなって‥‥。 |
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うーーん‥‥。 |
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す、すみません。 |
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でも、あれですよね、その時代は うさぎの飼い方がよく知られてませんでしたよね。 ひとつの小屋に 何羽もいっしょに入れられたりして。 |
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吹石 | そうでしたね‥‥。 |
すみません、暗い雰囲気にしてしまって。 なんだかその‥‥うさぎが好きなふたりの前で このことを黙っているのは いけないような気がしたので‥‥。 |
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それで、まさかのカミングアウトを、 このタイミングで。 |
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はい。 |
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‥‥わかりました。 きょうはもう、そのことは忘れましょう。 |
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ありがとうございます。 |
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気を取り直してまいりましょう! |
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吹石 | そうですね、気を取り直して。 |
ぼくはがんばって、 おいしいコーヒーを淹れます。 |
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そうですよ、がんばってくださいよ。 ‥‥吹石さん、すみません、 こんなへんなコーナーにお呼びして。 |
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吹石 | いえいえ、 ほんとににもう、 きょうはお仕事じゃなくて 趣味の時間だと思ってますから(笑)。 |
お気遣いを、ありがとうございます。 |
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気持ちがらくになりました。 |
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吹石さんは、 あまりコーヒーを飲まれないと マネージャーさんにうかがったのですが‥‥。 |
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吹石 | そうですね。 でも、いい香りのコーヒーを 人が飲んでると、 「ちょっとちょうだい」 ってほしくなるんです。 香りがいいのは、ちょっと好きですね。 |
きょうはぼくらの大好きな豆を持ってきました。 吉祥寺の「ロカリテ」というお店の豆です。 こちら、匂いをかいでみてください。 |
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吹石 | ありがとうございます。 ‥‥あ、いい香り、すごくいい香りです! |
‥‥山下さん、やりました! |
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よかったです。 その調子でがんばってください。 |
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はい‥‥。 |
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「福田くん、がんばれ」(大吉) (福田さん、自分で暗くしたムードを取り返して! と願いつつ、あしたにつづきまーす) |