吹石さん、 ミルで豆を挽いたことはありますか? |
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吹石 | いや‥‥ あ、コマーシャルでやったことがあったかも。 でも、ふだんの生活では、ないです。 |
そうですか、じゃあ、ぜひ。 |
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ぜひ。 |
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吹石 | え、うそー! |
いや、そんな大層なものでは(笑)。 |
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吹石 | えー、でもふだんコーヒーを飲まないから、 こういう器具に触れることもないですし、 なんかちょっと緊張してるかも(笑)。 |
ただ回すだけなんで、ゴリゴリと。 |
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吹石 | こ、こうですか‥‥? こっち回し? |
はい、それで大丈夫です。 |
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けっこう時間がかかるので、 お話をしながら。 |
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吹石 | わー、おもしろーい。 初めてだー(笑)。 |
‥‥では、 大吉くんのお話をきかせてください。 |
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吹石 | はい、もちろん(ゴリゴリ)。 |
7歳のミニウサギで、 男の子、ですよね。 |
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吹石 | そうですね。 たぶん、7歳くらい。 |
たぶん、というのは? |
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吹石 | 大吉は拾ったコなので、 正確な年齢がわからないんです(ゴリゴリ)。 |
そうか、そうでしたね。 大吉くんとの出会いについては 「うさぎの時間」にも書かれていましたね。 そのあたりのお話、 あらためてうかがえますでしょうか。 |
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拾ったんですか。 |
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吹石 | ええ、間接的に拾ったというか‥‥。 ペットショップの前に捨てられていたんですよ。 朝お店を開けようとしたら、 入り口の前に段ボールが置いてあって、 その中に大吉がいたんだそうです。 |
ペットショップの前に置いておけば なんとかしてもらえると思ったんでしょうか。 |
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吹石 | どうなんでしょう‥‥。 とにかく、マネージャーから 電話がかかってきたんです。 「助けてあげて」と(ゴリゴリ)。 |
マネージャーさんが たまたまそこに居合わせたんですね。 |
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吹石 | そうなんです。 「あなたが飼わないと、 あのコは死んじゃうんだよ」って。 |
おおー。 |
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吹石 | わたしは一人暮らしだし、 ちゃんと責任を持って世話ができるか そこが心配だったんですよ。 ところが、お店に行って ひと目みて、抱っこをしたら‥‥ もうダメでした(笑)。 |
それはよーくわかります(笑)。 出会ったんですよね。 |
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吹石 | そうですね‥‥ふう‥‥(手を止める)。 |
あ、疲れますよね。 あとはぼくが回します。 |
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吹石 | あー、ごめんなさい途中なのに(笑)。 |
で、その大吉くんは最初 どんな感じだったのでしょうか。 |
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吹石 | それが、捨てられたわりには トイレもしっかりしつけられていて、 人見知りもしないですし、 干し草もよく食べるんです。 |
へええー。 抱っこも大丈夫でした? |
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吹石 | ぜんぜんいやがりませんでした。 |
そうでしたか、うちのは 抱っこさせてくれるまでに5年かかりました。 |
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吹石 | 5年‥‥よくあきらめなかったですね。 |
こんくらべでした。 信用してくれるまで何度も蹴られて、 引っかき傷だらけになって(笑)。 |
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吹石 | あー、わたしもよく、 夏場は薄着で抱っこするんで、 いつも胸元が傷だらけです。 |
女優さんなのに(笑)。 |
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吹石 | 「なんですかこの傷は!」って、 よく叱られるんです(笑)。 |
‥‥なんか、大吉くん、 いい人にもらわれましたね。 |
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そうだねえ。 |
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大吉、ツイてますね。 |
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吹石 | いや、でも、 ツイてたのはわたしのほうだと思います(笑)。 大吉が来てくれて。 |
ああ‥‥。 |
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‥‥いいなあ、やっぱりうさぎは。 |
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吹石 | ‥‥そうですね。 |
‥‥‥‥。 |
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吹石 | ‥‥‥‥。 |
‥‥思い出します。 |
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吹石 | ‥‥‥‥。 |
‥‥あ、すみません、なんか(笑)。 |
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ぼくは何度か会ってますけど、 しあわせなうさぎでしたね、パンクは。 |
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そうですね。 でもまあ、ぼくらのほうがしあわせでしたけどね。 |
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同じこと言ってはりますね(笑)。 |
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そうか、ほんとだ(笑)。 |
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吹石 | ね(笑)。 でも、うさぎのことって あんまり知られてないですよね。 |
そうかもしれません。 |
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吹石 | うさぎを飼ってるっていうと、 「うさぎって頭悪いんでしょ?」とか 「コミュニケーションできないでしょ?」 って言われて。 |
はい。 |
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吹石 | 「いや、言葉だって覚えるし、 感情もわかるよ、呼べば来たりするよ、 それぞれに個性だってあるんだよ」 って言うと、みんなびっくりするでしょ。 |
信じてもらえなかったりします。 |
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吹石 | そのくらいのことは、 みんなに知ってもらいたいですよね。 |
ええ、そのくらいのことは‥‥。 あまりえらそうなことは 言えないですけれど。 |
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うさぎって、けっこうきれいですよね。 |
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吹石 | そう、ふわふわ。 |
ひまさえあれば毛づくろいして。 |
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吹石 | 「匂うんでしょう?」とか言われますけど‥‥ |
毎日掃除してれば、それほどでも。 |
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そうか、ウサギ自体にはほとんど匂いが‥‥ |
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吹石 | ないんです。 |
完全に草食で、 肉食の動物にみつからないよう 気配を消す生き物ですから。 おしっこはちゃんと決まった場所でするし。 |
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そっかー、頭いいんだね。 |
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吹石 | ほめてもらったよ(大吉くんに)。 頭いいねって。 |
ほんと、びっくりしますよね。 こんな生き物だったのかと。 |
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吹石 | 日々、いまだに毎日、 新鮮にかわいいと思うんで、 もう異常かもしれませんよね(笑)。 写メもいっぱい撮って、 「かわいい、かわいい」って、 見返したら10枚くらい同じ写真。 でも、またしばらくすると、 「かわいい!」って撮りまくってる(笑)。 |
(笑) |
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吹石 | あ、福田さん、 いまちょっと、あきれた笑いを(笑)。 |
いえいえいえ、そんなことないです(笑)。 ‥‥豆が挽けましたので、 そろそろコーヒーを淹れますね。 |
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福田さん、がんばりどころです。 |
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吹石さん、これ、 挽きたての匂いです(ミルを差し出す)。 |
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吹石 | ‥‥すっごい、いい香り! ちょっとコーヒー、好きになるかも。 |
責任重大ですね。 |
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責任重大です。 |
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吹石 | わたしの「コーヒー道」を 目覚めさせてください。 |
じゃあ、ぼくも「ウサギ道」を きょう目覚めさせたいと思います。 |
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おっ? 福田さん、いい! きれいな展開をありがとうございます! |
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‥‥ん? なんですか。これ? |
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え? |
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ちゃぶ台の下に、栗がありますよ。 |
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吹石 | ‥‥栗。 |
そ、それは‥‥‥‥ああああ‥‥。 |
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なんすか? この栗。 |
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ああああ‥‥もうほんっとに、 タイミングの悪いことを(笑)。 |
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ん? |
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あのですね‥‥ 大吉くんは「むき栗」が大好物だと こっそりきいていたわけですよ、ぼくは。 |
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はい。 |
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だからそれを、 最後にプレゼントしようと思ってたんです。 あくまで「最後のサプライズ」として。 |
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あー、はいはい。 ‥‥ん? |
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それをこのタイミングで、 「栗がありますよ」って。 |
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吹石 | (笑) |
ああー、台無しですね。 |
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福田さんのタイミングの悪さに ぼくがサプライズしてしまいました。 |
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ふぉふぉふぉふぉ(←笑い声) |
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吹石 | 福田さん、ちょっとやらかしましたー。 「栗ありますよー」(笑)。 |
(がんばれ福田さん! このシリーズは珍しく全5回。 あしたにつづきまーす) |