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3人とも辛さのことは
おっしゃらないですね。
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辛さこそ、みんな、
自分の好きな辛さがあるんですよ。
それはなかなか人と分かち合えない。
困るのは、みんなのためにイベントとかで
100人分のカレーをつくるとき、
100人分の辛さに合わせらんないってことです。
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よく、カレーのお店で、
辛さを足せる調味料がありますよね。
あれはどういうことなんでしょう。
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あれはね、分かります。
あれはおっぱいの大きさです。
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‥‥?!
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おっぱい、ですか(笑)。
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全員 |
(どよめき)
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何カップだからすてきっていうのと同じです。
つまり、AカップとGカップは、
Gカップがいいって思ってる人がGカップ好きで、
Aカップのことをだらしがないと言う。
でも、違うんです。
AからGまで、Zまで、全部違うんです。
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みんないいこ。
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みんないいこ。
で、辛さは刺激の強さですから、
数字で出すことができる。
カレーのおいしさをそんなに分からないときには
辛い方が大人のカレーだとか、
辛い方がうまいんだと思い込む。
コーヒーの通はブラックだと言う人もそうだよ。
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ああ、はい、はい。
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もっと通になると砂糖入れますよね。
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ああ、なるほど。
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だから、こうでなければみたいなところで
数字で縛れるものは
ぼくは貯金の高とか
おっぱいの大きさと同じで、
意味がないと思う。
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カレーの辛味がそのおっぱいの大きさと
ちょっとだけ違うのは、
3倍の辛さが好きだった人が
3倍に慣れてくると、
4倍が好きになってくるということでしょうか。
そして4倍に慣れてくると
5倍が好きになってくるんですよ。
際限なくエスカレートするんです。
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おっぱいもそうじゃない?
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そう‥‥ですか?
Bカップ好きだった人がCに行きます?
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グラビアの女の子のおっぱいは
あっきらかに歴史的に大きくなってますよ。
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あー、そういうことですか。
そうか、そうか。
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で、とうとうアメリカなんかで、
スイカみたいになってる人がいるでしょ。
モンスター化してくんですよ。
「すてき」から「すごい」になってくんですよ。
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なるほど、なるほど。
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いつか、でもそれがAに戻るってことは‥‥。
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ないですね。
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ないんですか。
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ないですね。でも、
「あれは下らなかったな」
って気付く人はいると思う。
ぼくなんか、もうそれです。
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(笑)。
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そうか、そういう意味じゃ一緒です。
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確かに。
わたし、高校時代、
中村屋のカレーが食べれなかったんですよ。
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辛くて?
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辛くて。でも今は食べれます。
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強い方に強い方に行っちゃうから。
ラーメンの汁も辛くなってますよね。
あれ、もう、戻れないですよね。
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脂が多くなってうま味が強くなって、
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全部濃くなって。
あれ、おっぱいだと思いますね。
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でもその糸井さんが今おっぱいの大きさに
反応しなくなったように、
カレーの辛さも、リセットするときが
くるんじゃないですか?
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数字1つで言いやすいものに
依拠するっていうのは、
やっぱり若いときまでじゃないですかね。
やっぱ人柄だ、とか、
ぼくは何となくあいつの雰囲気が好きなんだとかね、
言い出すわけですから。
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うんうん。
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鉄道マニアなんかでもさ、
実はぼく、80年代以後の
これが好きなんだよねとか、
人が価値を置かないものでも
自分の価値で再編成されるじゃない。
だから他人の価値観を
すっと借りてくるんじゃなくて、
自分の価値観をもう1回組み立て直さないと。
‥‥水野さん、大変だと思うんだよ。
こんだけ知った上で、
体系そのものが動いてるじゃない、
うごめいてるじゃない。
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そうなんですよね。
おっぱいコレクターみたいなもんですかね、
そしたらね。
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全部知っておきたいみたいな。
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そう、全部知らないと嫌なんですよね。
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けれども娼婦は
お客さんがいちばん遠い存在なんですよ。
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うん、うん。
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だからキスはしないとか、
あったんですよ。
水野さんはカレーと隣り合わせに
いつもいるんだけど、
地球一周していちばん離れたものでもあるわけ。
だって、さっき、平気で
キャベツの千切りっつったじゃないですか。
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そうですね。ぼく、しばらくやめてたんですけど、
最近またカレーの食べ歩きを始めたんです。
いわゆる職業病だと思うんですけど、
食べると、あ、おいしいって思う。
おいしいと思った瞬間に、
これは何と何がおいしいんだとか、
こうやってるからおいしいんだとか。
これはあのテクニックを使ってるな、
になっちゃうんですよ。
で、そうすると途端につまんなくなる。
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でしょうね。
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分かります。
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だから、最近、そういうのを反省してて。
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確かに何か、こういう味であってほしい、
みたいのから外れると
おいしくないって思っちゃうけど、
でも実は知らなかっただけで
すごく何かがあるかもしれない。
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そうそうそう。
あるいは、7、8年前は大好きだったのに、
今はあんまり好きじゃないと感じる。
それは、この7、8年間の中で、
ぼくもテクニックが上がってるから。
でも、このカレーはこのカレーの、
何か魅力がほんとはあるのに、
そこに気付けなくなっちゃって、
それを楽しめなくなっちゃってる自分がいて、
もったいないと思って。
今、だから、おいしくないとか
今いちだと思ったカレーを探る
キャンペーン中なんです。
そうすると、世の中にはおいしくないカレーが
いっぱいあるわけですが、
これはおいしくないなと思ったときに、
ちょっとね、ワクワクしちゃうんです。
自分がおいしく感じないってことは、
何か魅力があるんじゃないかって。
自分の全然及びもつかない、
魅力があるんじゃないかと。
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要するに再構成ですよね。
それはAKBですよ。
あれは、市場がどういう価値がいいのっていうのを
どんどん集めていったら、
そこからこぼれちゃう子の中に
一所懸命さだとかを見いだして応援する。
今は水野カリ~番長のAKB48化ですよ。
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そうですね。ぼくのAKBプロジェクトが
始まってるわけですね。
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うん。で、AKBに入れない子で
もう1チームできないかみたいな、
そういうことだってある。
それは専門的なことをやってると、なりがちで、
ぼくも、人の文章なんかで、
うまいかへたかで言ったらへただけど、
これはいい、っていうもの、あるもの。
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大衆化していくと、
みんなにヒットしやくなるんだけど、
誰かにとっての特別なものではなくなってくる。
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ああ、そうですね。
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