東京カリ〜番長・水野仁輔さんが選ぶ カレーの思い出。
#その3

カレーを食べるときのスプーンやお皿って
決まってますか?
僕は子供のころは決まってました。
大人になってから実家に帰省したときに懐かしくなって、
探してみたら、まだキッチンにちゃんとあったんです。
スプーンは名古屋のオリエンタルという
老舗カレーメーカーが作っている
マスコット入りのスプーン。
値段の高いものじゃないから
薄っぺらいスプーンなんですけど、
それが逆に口当たりがシャープで
カレーがおいしく感じるんです。
お皿は、なんともない草花の模様が青色で印刷された平皿。
意外とこの青色の柄で茶色のカレーが映えるんですよ。
実家を出てから20年以上経ちますが、
カレー皿とカレースプーンの印象はずっと残ってる。
それだけ僕にとってカレーが御馳走だったんだと思います。
で、この前、そのセットを実家からもらってきました。
いつかこの皿に自分のカレーを盛り付けて、
レシピ本の表紙を飾る、
なんてのもいいかもなぁと妄想してます。

さて、みなさんからいただいた思い出を紹介しましょう。


011
冷凍みかん3号/女性/30歳

うちは、カレーといえばゆで玉子がつきものでした。
カレーのたびに、大量に茹でられた卵のからを、
みんなでムキムキ‥‥。
上手に向けるときもあれば、全然ダメなときもあり、
今おもえば、楽しいひとときでした。
成長して、結婚した相手には、
そうした習慣はないらしいのですが、
二人の息子たちにはゆで玉子を食べさせようと画策中。
でも、今のところ、長男(四歳)はゆで玉子が嫌いみたいで、
ノッてきてくれません。
こんなに美味しいのになぁ。
いつ、カレーとゆで玉子の組み合わせに目覚めてくれるのか、
楽しみに待ってます。

僕、カレーのトッピングで一番好きなのが、茹で卵です。
それも、口の中でモソモソするくらいの固ゆでが好き。
特にしゃばしゃばしていて、
スパイシーで辛口なカレーを食べるときに
茹で卵があったら最高です。
駒沢大学駅付近に僕が東京で一番好きな
タイカレー屋さんがあるのだけれど、
(あ、名前は「ピキヌー」と言います)
ここのタイカレーは、半分に切った茹で卵が入ってる。
ピキヌーではいつも1人で
2種類のカレーを注文して食べるので、
トータルで1個分の茹で卵を食べることになるのだけれど、
もったいなくてなかなか口に運べません。
カレーに茹で卵がついてるときには、
いつも最良のタイミングで口に運びたい。
茹で卵ラブ。
でも、食べすぎには注意ですよ。
僕は中学校の時に一度の10個くらいの茹で卵を食べて
蕁麻疹になったことありますから……。

012
りん29歳

私の思い出のカレーは、おばあちゃんのカレーです。
カレー自体は普通なんですが、
何故かいつも付け合わせに焼いた魚のカレイが出ていました。
子供ながらにこれはギャグなのでは?
と聞いてみるも、
「偶然だ」と毎回流されていました。
一昨年、おばあちゃんも亡くなってしまいましたが、
あれは本当に偶然だったのか、気になります。

カレイのカレー。
お見事!
おばあちゃん、これは偶然じゃないね。
島根県には「鰈入りカレー」
っていうレトルトカレーがありますよ。
真空パックにした鰈が、カレーソースと別添えで入ってる。
もしかして、ご出身は、島根ですか!?


013
n_ken/女性/43才

母が働くようになり、
私と妹の食事はばあちゃんが作ってくれました。

お肉が苦手なばあちゃんのカレー。
ある日は「あさり」
またある日は「さば缶」ある日は「ほっき貝」
さらに「魚肉ソーセージ」「ちくわ」「厚揚げ」。

今日のカレーは何かなぁって楽しみでした。
ばあちゃんのカレーのお伴は
「レタスのシーチキンマヨ和え」
氷入りのお水のコップにささったスプーン。
ばあちゃんはもう天国にいるけれど、
もう1度食べたいなぁ。

おばあちゃん、孫のために頑張ったんですねぇ。
それにしても具のレパートリーが多いなぁ。
あさりのカレーは
スパイスで作るとおいしいですよ。
ちくわや厚揚げは
僕もカレールウで作るときにたまにやります。
黒こしょうを多めにふるのが好き。
そういえば、僕も幼いころ、
仕事が忙しい母親に代わって、
毎週金曜の夜はおばあちゃんが作ってくれました。
明らかにいつもよりも豪華で品数が多く、
金曜が来るたびに食卓が
パーッと輝いて見えたもんでした。
あ、でも、
カレーを作ってもらったことはなかったな……。


014
からすびしゃく/女性/42歳

学生時代のこと。
友達(女性)が「うちにカレー食べに来てよ」と
言うのでごちそうになりました。
ビーフカレーでした。
次の日、学校でその話をすると別の友達(女性)が、
「えーっうちにも食べに来てー。
シーフードカレーにするから。」
それを聞いた友達(男性)が、
「なんだかうらやましい…。」

なんだかうらやましい……。
よその家のカレーってなんでうまいんですかね?
同じカレールウで作ってても
絶対に自分の家と味が違うのも不思議。
友達の家をかたっぱしから回ってカレーを御馳走になる。
いいですね。
マイ皿とマイスプーンだけ持ってね。
大学時代にやっとくべきだったなぁ。

015
みち/女性/42歳

カレーの思い出といえば、
小さいころに姉とよくやっていた
「人間だぞー」ごっこ、です。
今思い出しても、さっぱり意味のわからない寸劇を、
カレーの日に二人で繰り広げていたものでした。
どういうものかというと‥‥

母からいつも、カレーばっかり食べないで、
ごはんと一緒に均等に食べなさい、と言われていました。
小さい子はご飯をたくさん食べるのが大変なんですよね。
ついついカレーのソースの方ばかり
食べてしまうかんじだったので
よくこうやって言われていました。
「カレーは単独で食べてはいけない」
そうすり込まれていたと思います。

そこからうまれた「人間だぞー」ごっこ。
ふつうにごはんと一緒にカレーライスを食べたあと、
母がそばにいないのをみはからって、
わたしか姉のどちらかが
カレーのソースだけをおかわりします。
このときは具もなしで、本当にソースだけ。
それをこっそりスプーンですくって食べていると、
どこからともなく
「にーんげーんだっぞーぉ」
と、低い声で叫びながら巨人が
(今でいうグリーンジャイアントの緑の人のイメージ)
お母さんの言うことをきかない子を
叱りにくるという設定で
どちらかがその役をやるという‥‥
ただそれだけなんですけど
毎回カレーの日はこれをやっていました。

今姉と話しても、あれは一体なんだったんだろうね、
と苦笑しています。
子どもが考えることって、
ヘンテコでおもしろいですよね。
いまでもあの
「にーんげーんだっぞーぉ」
というフレーズは
鮮明に覚えています。

すいません、わけのわからない思い出でした!
長くなっちゃってすみません。

本当に訳が分かりません(笑)。
でも、家で食べるカレーにルールがあるっていうのは、
うちも同じ。
ほぼ日の座談会でも話したことがあるけれど、
水野家のルールは、2杯目以降おかわりするときには、
キャベツの千切りと一緒に
カレーを食べるっていうものでした。
だから、いまだにとんかつ屋さんでカツカレーを頼むと、
横に添えてあるキャベツの千切りを食べながら、
実家のことを思い出したりします……。
あー、食べたくなってきた、実家のカレー。

 

いろんな思い出をありがとうございました。
では、また次回。
みなさんの“カレーの思い出”をお待ちしています!

2013-03-01-FRI
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