東京カリ〜番長・水野仁輔さんが選ぶ カレーの思い出。
#その4

ナマステ~。
インドに行ってきました。めちゃくちゃ楽しかった!
もう毎年恒例になっている行事です。
東京スパイス番長という4人組の集団で、
インドにインド料理を探る旅に出かけているのです。
今年のテーマは、
「川で魚を釣ってベンガル料理を作る」です。
マニアックですね‥‥。
ちなみに、去年のテーマは、
「バッファローの乳搾りをする」。
一昨年のテーマは、
「インドのマトンは、ヒツジかヤギか?」。
マニアックですね‥‥。
インドには呼ばれないと行けない、
と聞いたことがあります。
でも、インドは誰のことも呼んでくれません。
インドに自分探しの旅に出るという人もいます。
でも、インドで“自分”は見つかりません。
旅は、明確な目的を持って訪れる人こそが
存分に楽しめるものなんじゃないかなぁ、と思ってます。
これは僕の持論です。
ああ、来年のインド旅が待ち遠しい。
次は、「インドへ稲刈りに行く」予定です。


016
yuka/女性/27歳

私が小学生の時。
毎日の給食が楽しみで、特にカレーの日なんて
いつも以上にワクワク。
ルンルンで食べ進めると‥‥何やら口の中で違和感が。
ザラっネチャッ…まずっ!!!
残念な事にカレーのルウが溶けきれず固まってたんです。
それ以来給食のカレーの日は、
ひとりドキドキして食べてた思い出があります。

給食のカレーで溶けてないルウが入ってましたか!
それは失態ですねぇ。
家庭ではよくあることだけどね。
僕は初めてインドに行ったとき、
デリーのレストランで頼んだチキンカレーに
バンドエイドが入っていたことがありました。
店員を呼んで、煮込まれてしんなりした
バンドエイドを見せると
「あ、いけねぇ」って感じでペロッと舌を出しました。
あきれた僕は、「しょうがねえなぁ」という感じで、
バンドエイドを器の脇に置いて残りを食べました。

017
ちぇぶ/女性/33歳

「具がごろごろ入っているのと、
 しゃばしゃばしたカレーと、どっちが好き?」
「いやー、どっちも捨てがたい。
 どっちにも、それぞれの良さがあるよね!」
「だよねー」
といった会話をしていた、今の彼氏との初デートですかね。
神保町で、カレーを。
まだ付き合う前で、お互いに思いつつ、探り探り‥‥

でも、うんと楽しかったわけです。
いや、甘酸っぱい。
今でも、何かあると、「カレー食べにいこう」となります。
次の約束も、喫茶店でカレーです。

甘酸っぱい!
いいですね。こういう話、大好き。
探り探りっていうの、すごくよくわかる。
答えは「ごろごろ」なのか「しゃばしゃば」なのか。
ドキドキしますね。
それぞれに良さがあるなんて、オトナな発言。
いや、苦肉の策かな。
どっち派だったとしても、相手を傷つけない。
というか、
どっち派だったとしても、
どっちにしろキミが好き、みたいな。
ん~、なかなかいい。
ただ、もしカレー屋の隣りの席でやられたら、
「ヨソでやれ!」って突っ込みたくなるね。


018
春巻き/女性/33才

ダンナが、結婚後に1度だけ
料理を作ってくれたことがあります。
それがカレー。
食べてみると、何だか不思議な味。渋い気がする。
「隠し味とか、使った?」と聞いてみると、
何で分かったんだろうという顔をしながら
「これ」とだいぶ中身の減った
料理用赤ワインのビンを出してきました。
カレーに、赤ワイン‥‥しかも大量に!
そりゃ分かるわ!
ほぼ初めての料理なら、
とりあえずルーの箱に書いてある通りにしてくれ~。
その後私は、作って食べて落ち込んだ
ダンナのフォローに追われました。

カレーに赤ワイン、いいじゃないですかー。
何が問題だったのかなぁ。
カレーに赤ワインを使うときにはルールがあって、
加熱時間(投入タイミング)と加える量の
バランスが肝心なのです。
赤ワインの風味をつけたいなら少量を
煮込みの後半、仕上がり直前にさっと加える。
しっかり煮込みたいならそこそこ多めの量でも
煮込み始めに加えるのがいい。
風味を隠しつつ、赤ワインの味わいを醸し出したいなら、
玉ねぎの炒め終わりなど、水を入れて煮込む前に加えて
アルコール分を飛ばすのがいい。
あとは香味野菜なんかと一緒に肉に漬け込んで
ひと晩、ふた晩おくっていうやり方もあります。
これが僕は一番好き。
赤ワイン話でついつい熱くなってしまいました‥‥。


019
豆蔵/44歳

実家では食事係だった、私。
カレーは得意だったし、リクエストも多く、
けっこうこだわっていました。
それが、結婚して、同じようにカレーを作っても
全然おいしくないんです。
材料を代えたり、時間を更にかけてみたり、
いろいろやっても一度もおいしくなりませんでした。
里帰りして作ってみると、ちゃんとおいしいのに‥‥。
結婚して17年、
私のカレーはまずくはないけど、おいしくもない。
そんなレベルのままです。
何故なんでしょうね‥‥。

里帰りするとうまいって、面白いですね。
なぜなんでしょう。
これは謎ですね。
ホームとアウェイの違いでしょうか。
いや、でもご結婚されて17年なら、
今の生活もすっかりホームのはずですよね。
考えられるのは、鍋と火力の違いかなぁ。
鍋は厚手のものがいいです。
焦げにくいからしっかり素材に火が入る。
火力はそれなりに強いコンロのほうがいいですね。
これも理由は同じです。
カレーをおいしく作るコツは、“脱水”にあります。
これで味がぼやけるか引き締まるかが決まる。
ただ、やっぱり謎ですね。
里帰りするとうまい‥‥。
んんん‥‥。
ご実家で作ってご自宅に運ぶしかありませんな。

020
いさな/女性/37歳

私は実の母親とは疎遠にありますが、
幼い頃、父が死んで以降、
何度か私の授業参観を見に来てくれた
「お母さんがわり」のおばさんというのが存在しています。
今では自分で作った料理で
ひとりで食べきれない量を作ったものは
たまに時間を見計らって
そのおばさん宅に届けに行くことも‥‥。
ある日そのおばさんが
「かあちゃんのカレーが食いたいなぁ」と。
私が育った頃にはすっかり
市販のカレールゥが主流になってましたが、
おばさんが育った時代は
カレー粉で作ったカレーが主流だったんですよね。
そこで私は初めて市販のカレー粉でカレーを作りました。
玉ねぎ炒めて小麦粉炒めて
間違ってゴムベラでかき混ぜちゃって
ゴムベラが溶けちゃったから途中から
もう1度作り直したりもしました。
それである日密かにタッパに詰めて
持って行ったカレー粉カレー。

私自身は食べたとき「味が薄いなぁ」って思っていたけれど
あとになっておばさんに聞いたら
「あのカレーにソースをかけて食べるのがうまいんだ」
そうで今まで作って届けた料理の中で
1番喜んでもらえたのがそのカレー粉カレーでした。

子供の頃に返ったように
喜んでもらえたのが嬉しかったですねぇ。
でもちょっと作るのに手間がかかるから
今年の夏は野菜を沢山のトマトと煮込んで
そこにカレー粉で味をつける
お野菜カレーを持っていきましたとさ。

誰にも思い出のカレーの味ってありますよね。
味が薄いなぁと思ったカレーを
童心に返ったように喜ぶ人がいる。
カレー粉で作るカレーは
小麦粉などを使わなかったらとろみがつかないから
ルウで作ったカレーのように
どろっとした舌触りにはならないんですよね。
もちろん、味も薄くなりがち。
でも、しゃばしゃばっとしたカレーに
ソースをかけるのがうまい、
っていう感覚はすごくよくわかります。
僕は、しょう油をかけるほうが好きですけどね。

いろんな思い出をありがとうございました。
では、また次回。
みなさんの“カレーの思い出”をお待ちしています!

2013-03-22-FRI
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