食べてないのに、スイッチが入ると
どんどん歩けてしまうっていうのは、
環境のたすけもあったんじゃないでしょうか。
そうですね、あれが都会だったら
いろんなところから
食べもののいい匂いの誘惑が多くて
もっと辛かったでしょうね。
なるほど。
ぼくも京都にいるあいだは
インスタント食品を食べないんです。
それと似ているんでしょうね。
買って置いてはあるんですよ、インスタント食品。
でも、それ食うんだったら、ご飯炊こうかとか、
冷凍庫のなにかを温めようってなりますね。
あれは匂いの誘惑がないからなのかも。
なんだか、もったいなくて。
匂いっていうのは、ありますよね。
今回の断食中も散歩しながら、
葉っぱをちぎって匂いをかいでいたらしいです。
らしいって、どういうこと?
‥‥あ、無意識なんだ。
そう、遊びに来た友人が言うんですよ。
「歩きながらあちこちで匂いかいでたけど、
あれはなんで?」って。
いいなぁ、動物ですね、それはもう(笑)。
‥‥その、動物的な散歩以外では
断食中はどんなことをして過ごしてるんですか。
基本は退屈なんですよ。
だから話し相手はいたほうがいいんでしょうね。
ぼくは「ほぼ日」の中継もあったし、
もともとひとりでいるのが苦にならないので、
まあ、大丈夫なんですけど。
そうか、森川くんにしてみれば
ひとりで深夜に起きているような気持ちなんだ。
だったらゲームなんかはいいでしょう。
それが、ゲームは持っていったんですけど‥‥。
あ、あんまりやらなかったんだっけ、DS。
そういえば
テキスト中継に書いてましたね。
いや、あんまりっていうか、
起ち上げさえしなかったです、1回も。
へぇ、そう。
せっかく
「パネルでポン」
持ってったのに。
パズルものは無理でしょう(笑)。
‥‥漫画くらいは読みましたか。
ぼくは読まなかったけど、
ほかの人たちは読んでましたね。
みんな
「美味しんぼ」
を読んでるんですよ。
「美味しんぼ」?!
なんでまたそんな(笑)、だって辛いでしょう?
それが、みんな平気なんですよ。
静かに読んでる。
べつにだれも苦しがったりはしないんです。
漫画だけじゃなくて、会話もそうでしたね。
みんな食堂とかでおしゃべりしてるんですけど、
その話題がほとんど、食べもののことなんです。
そこら中で、食べものの話ばっかり。
でも、食欲に負けそうな感じでもない‥‥。
おもしろい(笑)。
ただ純粋に、
興味の対象が食べものにいくっていうか‥‥。
おいしいもののことなんて考えないほうが
辛くないっていうのはわかるんですけど、
あれはなんでしょう? どう言ったらいいか‥‥。
それ、ぼくはわかりますね。
代償行為みたいなものがないと怖いんです、
たぶん。
もしぼくが若い時分に男ばっかりの禅寺にいって、
「なにがなんでも性欲を絶て」って言われたら、
それは嫌ですもん。
でも、適当に女性がいて、
通りかかったり、湯浴みしたりしてね(笑)。
で、おずおず手をのばすと「あらダメよ」って、
おだやかに笑いながらたしなめられたりする。
そういうのがちょっとでもあれば、
「いやぁ、そうっすかぁ、辛いっすね!」
とか言いながら、なんとかできるんですよ。
それがね、丸坊主の男ばっかりだと、ねぇ‥‥。
「ここにいたら死んでしまう」になる(笑)。
なるほど、そうですね。
まったくの無音だと幻聴を聞いてしまうように。
ちょっとノイズがあったほうがいいんでしょうね。
うん。聖人君子みたいに、
ふわふわした無言の場所にいっちゃうと、
欲望って混乱するだけでしょう、たぶん。
コンフューズですよ。
だから、
断食の最中にあえて「美味しんぼ」を読んだり、
食いものの話をするっていうのは、
やっぱり知的行為なんですね。
その知的行為で、
混乱しそうな部分をマッサージしてるんでしょう。
(続きます!)
2007-07-04-WED