身近で親しい、デザインあ展 佐藤卓×糸井重里
日本科学未来館で開催中の
企画展「デザインあ展 in TOKYO」の会場で、
グラフィックデザイナーの佐藤卓さんと
糸井重里がトークをしました。
閉館後の館内を卓さんにガイドしていただき、
わくわくするような展示を体験したり、
デザインの概念にまで話をひろげたり。
みんなに喜ばれているデザインは、
佐藤卓さんが見つめる「あたり前の日常」に、
どうやらヒントがありそうです。
第1回 佐藤卓さんのガイドツアーその1
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糸井
今日は、卓さんに「デザインあ展」を
案内していただけるんですね。
ありがとうございます。
佐藤
糸井さんにたのしんでいただけると嬉しいです。
「デザインあ展」は全体が、
「観察のへや」「体感のへや」「概念のへや」という、
大きく3つの部屋に分かれていまして、
最初は「観察のへや」からはじまります。
手前から「お弁当」「マーク」「容器」
「からだ」「なまえ」という5分類で並んでいます。
部屋に入ってすぐにあるのが「お弁当」ですね。
いろんなクリエーターの方に参加してもらっていて、
「お弁当」のゾーンはすべて、
パーフェクトロンさんが担当しています。
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たまごの変身
(パーフェクトロン)
スタートは同じたまごでも、
調理の仕方や手順がかわれば、
ゴールは全くちがうすがたで
お弁当をいろどります。
たまごがさまざまに変化していく
様子を観察します。
<技術協力>イワサキ・ビーアイ

<料理協力>竹原由紀
佐藤
『たまごの変身』は、
同じたまごが、いろいろな料理の仕方によって、
変化していくというものです。
糸井
いいですね、こうやって作ってあると。
佐藤
アナログな展示ですよね(笑)。
あまり説明的なデザインにしていないんです。
佐藤
で、これはちょっと、
糸井さんにも参加していただきたいのですが。
作品の中に入って頭を出すと、
お弁当の梅干しの所から
ちょうど頭が出るようになっていまして、
梅干しの気持ちになれるという(笑)。
上から記念写真を撮れるようになっています。
写真
梅干しのきもち
(パーフェクトロン)
大きな箱に開いたあなに
顔を入れてみてください。
梅干しのきもちが分かるかもしれません。
<技術協力>イワサキ・ビーアイ
糸井
ああ、いいねえ。米と親しい感じがします。
こんなんで結構うれしいもんですね(笑)。
みんなもやってみるといいですよ。
佐藤
けっこう、よくできてますでしょう?
みなさん、ここで写真を撮るために
並んでくださっているようです。
糸井
『梅干しのきもち』っていうタイトルも、
ちょうどよくて上手だね。
佐藤
つづいて「マーク」のゾーンです。
こちらは岡崎智弘さんの作品です。
ここでは、マークを作って遊べるようになっています。
写真
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マークをつくる
(岡崎智弘)
かたちが描かれたカードをかさねあわせて、
じぶんでマークをつくってみよう!
<技術協力>aircord
糸井
なにかとなにかを組みあわせて、
マークを作るんですね。
佐藤
自分でいろいろ作ってみるんです。
たとえば、「ゾウ」と「禁止」で
「ゾウ禁止」みたいな(笑)。
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糸井
ゾウさんは来ちゃいけません!
佐藤
なんでもできます。
糸井
ちょっとぼくもやってみようかな。
ええと‥‥、できました。
雨と雪の相合い傘。
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佐藤
わっはっは。いいですね。
つづいて「容器」のテーマにいきましょう。
『いれもの二十面相』という作品は、
plaplax(プラプラックス)さんというおふたりと、
パンタグラフさんという方で作ったものです。
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いれもの二十面相
(plaplax+パンタグラフ)
ゾートロープという
アニメーションの手法をつかって、
用途がおなじ容器の、
かたちの共通点やちがいを観察します。
佐藤
実は、世の中で普通に使われているものを
並べているだけなんですよ。
光の点滅と回転をうまぁく合わせると、
いろんな形のペットボトルに動きが出てくるんです。
こんなにいっぱいの種類が、
世の中にあるということがわかるはずです。
糸井
ああ、おもしろいねぇ。
昔あった、アニメーションの原理を
説明するようなものを思い出しました。
馬の写真を並べて回転させると
馬が走っているように見えるものです。
佐藤
ああ、はいはい。そうですね。
目薬やペットボトルを並べても
動きが作れてしまうくらい、
世の中にはたくさんの種類があるんです。
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糸井
回転する動きを止めないで、
「どうやっているでしょう?」
というクイズを出しても、
この仕掛けはわからないでしょうね。
佐藤
わからないでしょうね。
糸井
そういう映像だと思うだろうな。
すごく楽しいです。
ぼくは、かなり気に入りました。
佐藤
こっちもまたおもしろくて、
『かんばん「あ」』という作品です。
街なかのお店の看板の中には、
おもしろい書体がありますよね。
これを集めている人たちがいて、
彼らは「のらもじ」と呼んでいるんですが、
すべて世の中に転がっている文字なんです。
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糸井
ああ、こういう看板ありますね。
佐藤
その文字をヒントに彼らはフォントを作っています。
たとえば「みどりや」という看板の文字をもとに、
「あ」から「ん」まで全部フォントを作っちゃう。
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かんばん「あ」
(のらもじ発見プロジェクト)
街の中にはあちらこちらに文字があります。
いろいろなかんばんの文字をあつめて分析し、
それぞれの文字の「あ」をつくりました。
文字のかたちだけで、何のお店かわかるかな?
佐藤
かわいい文字がいっぱいあるんですけど、
それらを全部フォント化している人たちです。
糸井
ああ、「のら」か。
おもしろいね。
佐藤
これも糸井さんに試してもらいましょうか。
『名は顔をあらわす』という展示です。
画面をタッチしてお名前を入れてみてください。
糸井
わかりました。
(「しげさと」と入力する)
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佐藤
はい、入力できましたね。
そうしますと‥‥。
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名は顔をあらわす
(大日本タイポ組合+奥田透也)
ひとりひとりの顔が違うように、
「なまえ」も、あなただけの個性です。
あなたの「なまえ」でつくる顔は、
あなたに似ているでしょうか。
<ひらがなタイプデザイン>宇野由希子
糸井
あぁ、あれ?
えぇーっ?
佐藤
糸井さんの名前が顔になりました。
糸井
おお、しげさとが動いている。
すごいなぁ。
佐藤
けっこう人気があるんです。
プログラミングが大変だったようですよ。
糸井
卓さんの名前でも見てみたいな。
佐藤
ちょっとやってみましょうか。
(「たく」を入力する)
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糸井
おお、たくたく。
2文字でも、増やせばいいんだね。
卓さんは、目がかわいいです。
佐藤
いえいえ、ありがとうございます。
つぎは、番組でもやっているコーナーです。
この場でデッサンを始めていただきます。
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デッサンあ
(阿部洋介+藤森吉昭
+稲福孝信)
モチーフをよく見てデッサンしてみよう!
描いたデッサンを会場のスタッフにわたして
スキャンすると、ほかの人が描いたデッサンと
いっしょに会場のモニターに映し出されます。
展覧会ホームページには、
会期中にみんなが描いたデッサンが大集合!

>デッサンあ特設サイト
<モチーフ協力>株式会社 京三製作所、JAXA、有限会社 プラッツ、株式会社デンソー

<資材協力>ステッドラー日本株式会社
佐藤
ここでデッサンして係りの人に渡すと、
スキャンしてもらえます。
そのスキャンした画像が会場に映し出されて、
いろんな角度から描いたデッサンが順番に映るので、
物が回転しているように見えるんです。
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糸井
あぁ、なるほど。
子どもが描いているから、
ちょっとブレるんだね(笑)。
佐藤
うまい人が描くと、
ぐるぐると回転して見えるんです。
デッサンのモチーフにしているものは、
期間中に刻々と変わっていきます。
糸井
ここに置かれているものを描くのは
ちょっとむずかしそうだな。
佐藤
科学未来館なので、ロボットを置きました。
子どもたちには、何をするものなのか
わからないかもしれませんね(笑)。
では、次にいきましょう。
(つづきます)
2018-09-07-FRI
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企画展「デザインあ展 in TOKYO」
2018年7月19日(木)ー10月18日(木)

日本科学未来館
会場
日本科学未来館

1階 企画展示ゾーン(東京・お台場)

開館時間
10:00ー17:00

※入場は閉館時間の30分前まで
ただし、土曜日、祝前日(9/16、9/23、10/7)は
20:00まで開館、常設展は17:00に終了

休館日
火曜定休

>公式サイトはこちら



山梨、熊本への巡回も決まったそうです!
<山梨会場>

会期
2019年4月から

会場
山梨県立美術館

(山梨県甲府市貢川1-4-27)


<熊本会場>

会期
2019年6月から

会場
熊本市現代美術館

(熊本県熊本市中央区上通町2番3号 びぷれす熊日会館3階)