第19回 身近な虫も、遠くの虫も。

第18回の「謎の虫たちの正体に迫る。」で、
みなさまからお寄せ頂いた回答をご覧になった
質問者のムーさんから、ご連絡いただきました。

‥‥これです!
尻尾のとんがった形といい、
うずまき状の形といい、
色といい、これに間違いないと思います。
それにしても、動いていたので芋虫かな?
と思っていたのですが、サナギだったのですね。
長年の疑問が解決してスッキリしました。
皆様本当にありがとうございました。
(ムー)

一寸の虫にも五分の魂さん、うにさん、
メールをくださったみなさま、ありがとうございました。
わからないことがわかると、スッキリしますね!

サナギは動かないものだと思い込んでいましたので、
動くという事実には、かなりびっくりしました。
動くサナギに遭遇するなんて、滅多にない体験だと思います。
そんなふうに、身近な虫でも、
まだまだ、たくさん衝撃の事実があるんでしょうねー。

本日は、身近にいながら、
ほとんど知られていないんじゃないかと思われる、
虫(正しくは寄生虫)のお話しからご紹介していきますね。
ムズムズと画像を見ずにはいられなくなると思いますが、
苦手な方はご注意を〜〜!!

※ちなみに、ほぼ日の「虫博士たち。」は、
 昆虫に限らず、大きなくくりの「虫」ということで、
 虫の境界線をおおまかに、おおらかに
 お送りしておりますので、
 なにとぞよろしくお願いいたします。





レウコクロリディウム
という寄生虫を知ってますか?

基本的には鳥に寄生するのですが、
なんと幼虫段階では鳥の糞を経由して
カタツムリの目に寄生します。
そして文字通り目の色を変えます。
それこそ、目(というか角ですね)の中に
何か気色悪いカラフルな模様がもぞもぞと!
しかもカタツムリの行動まで支配して、
普通のカタツムリであれば、
鳥に見つからないよう、
葉の裏側に隠れているのに、
このレウコクロリディウムに
寄生されたカタツムリは、
わざと鳥に見つかるよう
(そして食べられるよう)
葉の表に移動するのです。
以前、何かの番組でその映像を見ましたが、
もう、ありえない気色悪さ。
ああ、カタツムリに生まれなくてよかった‥‥。
(まる)

レウコクロリディウムを検索しました。
‥‥‥‥‥‥‥‥。
すごいものを見てしまった‥‥。
と、思わずつぶやくくらい写真を見て驚きました。
この寄生虫は、ハリガネムシに続き、強烈です。
まるさんが書いてくださっているように、
わざと鳥に見つかって食べられるように
触覚を大きくカラフルに見せ目立たせたり、
葉の表に誘導したりするのは‥‥
なんと! 最終的には、鳥に寄生するのが
目的だからだそうです。
鳥の糞→カタツムリ→鳥
というライフサイクルを送り、
自らの繁栄を謀る、 レウコクロリディウム‥‥。
寄生されたカタツムリに同情すらしてしまいます。


マイマイな思い出。
キャラメルのような甘い匂い??

子供の頃、歩いて3分くらいの所に薮があり、
夏はよくカブトムシや
クワガタムシを捕りにいきました。
(いまは整地され住宅が
 数家建ってしまいましたが‥‥)
夜に薄暗い懐中電灯を持って薮へ行き
木を照らすと、
なんと樹液を吸うノコギリクワガタを発見!
とっさに手で掴むと信じられないほど
元気に動くので、おかしいなと思いよく見てみたら、
ノコギリクワガタではなく「マイマイカブリ」でした。
マイマイカブリは、カメムシ等と同様、
手で触ると匂いが付きます。その匂いは独特で、
最初はキャラメルのような甘い匂いでしたが、
次第に吐き気を催す壮絶な匂いに変貌します‥‥!
(トシノ!)

マイマイカブリ。
名前からして嫌な予感が‥‥と思ったら、やっぱり、
カタツムリ(マイマイ)の関係者でした。
今回はカタツムリの出番多し、です。
マイマイカブリは、
カタツムリの殻の奥に細い頭を突っ込んで、
消化液を口から吐きつつ、
カタツムリの肉を溶かして食べるそうです。
カタツムリばかりを食べるわけではないとのことですが、
カタツムリを食べないと産卵できないんだとか。
名前のごとくカタツムリのおかげで(?)生きてますね。


金ピカのさなぎ、オオゴマダラ

「オオゴマダラ」ってご存知ですか?
蝶の一種で、南西諸島に生息しています。
沖縄県内では、このオオゴマダラが
優雅に飛ぶ姿を見られる蝶園などが多くあります。

たしかに、アゲハチョウのように大きくて
飛ぶ姿も優雅でキレイなのですが、
なによりも驚くのがサナギ!
すっごく金ピカなんです。サナギそのものが。
金のサナギが木にぶら下がってるのは不思議な眺めです。

私も沖縄に来て初めて目にしたときは驚きました。
これは蝶に詳しい方の間では有名かもしれませんが、
知らない方にもぜひ見ていただきたいと思って
メールさせていただきました。
(沖縄県 まみ)


オオゴマダラ、南国のピンクの花に留まっていると、
白と黒の模様が映えて、とてもきれいなチョウですね。
幼虫もまた、黒と白の縞模様に赤の斑点。
なのに、サナギは見事に金ピカ! です。
金箔を貼ったようにテカッとしたつやのある金です。

このチョウは、毒がある葉っぱを食べて育つので、
成虫になっても毒があるらしく、
鳥はオオゴマダラを食べないんだそうです。
毒チョウだということを示すために、
ゆっくりと優雅に飛ぶとも言われているんですが、
金ピカなことといい、あやしく優雅なチョウですね〜。


身近にいる虫の話しでも、
限られた場所にしかいない珍しい虫の話しでも、
どんどん「虫博士たち。」で収集していきますので、
みなさまからのメールをお待ちしていますね。
ではまた来週、お会いしましょう〜!



今回登場した虫たちをご覧になりたい場合は、
こちらをクリックしてどうぞ。

(検索エンジンgoogleの
 イメージ検索を利用しています。)


レウコクロリディウム
マイマイカブリ
オオゴマダラ


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2005-12-11-SUN



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