第41回 さあ、窓を開けてごらん!
虫が入るから。

最近、よく虫を見かけるようになりました。
3月に入ると春爛漫なイメージで、
冬の間、見かけなかった虫たちが、
わんさか出てくるんじゃないかと
「虫博士たち。」担当としては、
ものすごく期待していたのですが、
実際、(場所によるとは思いますが)
東京都内にいると、5月に入ってからのほうが、
虫をよく見かけるんですよねー。

なんでだろう? と考えていたのですが、
「暑くなってきて窓を開け始めたことで、
 虫が家の中に入ってくるから」
という、単純な結論が出ました。
外にいるときは、虫を意識しないけど、
家の中に入ってきたら嫌でも注目しますからねー。
それで、よく見るような気がしているだけ??
それだけではないと思いますが、
本当によく見ます。

先日も、会社の窓が開いていたので、
アブかハチかわからない虫が社内を飛び回り、
キャーキャー言われていました。


※慌てて携帯のカメラで撮ったので、
 写りが悪くてすみません。


そんな風に、
窓を開けると心地良い日々です。
さあ、みなさん、どんどん窓を開けて、
どんどん虫を呼び込みましょう!
(‥‥嫌ですか??)



さて、本日の虫博士は、
久々に昆虫写真の連続です。
昆虫って、撮影するのが本当に難しく、
忍耐力と体力の勝負だと思うんです。
そんな勝負に挑んだ虫博士たちの貴重な写真を、
どうぞじっくりとご覧くださいませ〜。
※苦手な方は、薄目でご覧ください!

自宅で飼っている(?)
ハエトリグモ。


飼っているというわけではないのですが、
いつの間にか自宅にいついたハエトリグモがいます。
体長1cm弱で、10cmくらいジャンプします。
目はたくさんありますが、
視覚より振動に敏感で、
指で近くをコツコツすると振り向きます。
この振り向き方が良いです。

虫って猪突猛進というか、
バックできないクルマみたいなものが多くて、
たまにヨコに動くヤツがいると
「ヨコバイ」みたいに名前になったりするほど。
で、ハエトリグモはというと、
ターンテーブルに乗っているみたいに
全身でクルッと回るのが珍しいなぁと思うんです。

ジャンプするときは、飛ぶ方向に顔を向けます。
チョコチョコとした動作が、
クモっぽくなくて良いです。

(拡大)

(拡大)

(Susu)

第6回の「愛されない虫の広場R」にも登場した
ハエトリグモ。
やっぱり人気がありますね。
確かにSusuさんのお写真を見ると、
毛むくじゃらでぷっくりした感じが、
愛らしくも思えます。


源氏蛍(ゲンジボタル)の産卵と孵化。

源氏蛍の産卵場所選びはかなり神経質で、
水辺の石に生えた苔のあちこちに
産卵管を差し込んでは止め、差し込んでは止め、
決まるまで激しく動き回ります。
その様子をカメラで追い続ける不自然な腹這い姿は、
首筋や背中の筋肉が痛みます。
痛みをこらえシャッターを切っても、
産み付けられた卵は苔の根元で、
産卵管から出る瞬間の白い卵が写りません。
結果、悔しいけれど仕方のない
諦め写真(写真1)ができます。

1.(拡大)
屋外水路の苔に産卵中

孵化の写真は、米粒より小さい
直径0.5mm程の卵を撮影するため、
微動調整装置付の台にセットした
クローズアップレンズ付きカメラで撮影しますが、
カメラのセットポジションが確保出来ず、
屋外環境での撮影は出来ませんでした。
仕方なく産卵器で採取した卵の
室内撮影に切り替え、撮影しました。

通常、産卵から孵化まで25日ですが、
環境によって変わります。
添付の写真(2,3,4)は、
いつ孵化するか解らない卵にピントを合わせ、
孵化の瞬間を32時間も待って出来た
蛍まかせのフロッキーな写真です。

2. (拡大)
3.(拡大)

4.(拡大)

写真5は、孵化直後の幼虫と
孵化前の卵が写っています。
両者の姿態を比較して見て下さい。

5.big(拡大)
孵化直後の幼虫と孵化前の卵
(上の写真2、3、4とは別個体)


(ishi)

第8回でご紹介した、
ゲンジボタルの写真を送ってくださったishiさんが、
その後、送ってくださっていた写真ですが、
ホタルの季節が近付く頃に紹介しようと思い温めていました。
ishiさん、貴重なお写真をありがとうございます!

ゲンジボタルは、蛹化する際、
「土まゆ(蛹室)」というのを作り、
その「土まゆ」の中で羽化して、
体が固くなるのを待ち、
その後やっと地上に這い出てくるんだそうです。

どうやって土の中にいながら、
土を固めていくのか調べてみると、
周囲の土を押し広げつつ、
土が固まる作用のある透明の液体を体から分泌して、
その液体で固めているみたいです。
う〜ん、虫の不思議は尽きませんね。


さて、本日の虫博士いかがでしたか?
そろそろホタルの季節です。
みなさまの町のホタルスポットや
ホタルの写真、思い出話など、
お待ちしています〜!


今回登場した虫たちをご覧になりたい場合は、
こちらをクリックしてどうぞ。

(検索エンジンgoogleの
 イメージ検索を利用しています。)


ハエトリグモ
ゲンジボタル




楽しみにしていた、
5月・6月の虫カレンダーが、
イラストレーターのはらだゆきこさんから届きました!

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お知らせ

昆虫写真家の海野和男さんの最新作品が見られます。
この写真展は、オリンパスマクロレンズによる写真展で、
自然写真を多く発表している4人の写真家さん、
合同の展示になっています。

マクロレンズとは、
虫や草花などクローズアップ撮影時に
使われるレンズのこと。
肉眼では見えない世界をのぞくことができます。
会期が、24日水曜日までとなっておりますので、
ご興味のある方は、急いで足を運んでみてくださいね。

【オリンパスマクロレンズによる写真展】
期間:5月18日(木)から24日(水)まで
時間:午前10時〜午後6時(最終日は午後3時まで)
休館:日曜・祝日
場所:オリンパスギャラリー
出品者:海野和男・豊田芳州・丸林正則・吉野 信
公式HPはこちら。

2006-05-14-SUN



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