気象予報士的「アースボール」のたのしみ方。 気象予報士的「アースボール」のたのしみ方。
11月5日、ついに発売されました!
「ほぼ日のアースボール」のセカンドモデル。
もうチェックしていただきましたか?

見た目は、宇宙から見たそのままの地球。
アプリやタブレットをかざすと、
刻々と変化する地球の「今」が見えます。
台風の渦も、熱帯の雨も、アフリカの猛暑も、
ぜーんぶリアルタイムで見れちゃいます。
これがまた、ほんとうにすごい!
おそらく気象の専門家が見ても、
びっくりすると思うんです。

そこで、3人の気象予報士をお呼びして、
実際にアースボールを見ていただきました!
はたしてどんな反応になったのか‥‥。
全6回、どうぞおたのしみください。
ほぼ日のアースボール
03 気象予報士的たのしみ方。
写真
──
アースボールで「雲」を見ようと思ったとき、
あんまり気象に詳しくない方だと、
どこに注目していいかわからないと思うんです。
佐々木
ああ、たしかに。
──
そういう方に
「こうやって見るとおもしろいよ」みたいな、
おすすめのたのしみ方ってありますか?
佐々木
生活に関係するという意味でも、
やっぱり「台風」はいいんじゃないかな。
──
あー、台風。
佐々木
台風の動きって、台風ごとに
ほんとにぜんぜん違うんですよね。
まっすぐ北上したり、西に行っちゃったり、
南に行くことだってありますから。
なんでそういう動きをするのか、
地球サイズで見てみるっていうのは
すごくおもしろいと思います。
寺川
たしかに防災という意味でも、
それはすごくいいですね。
台風ってすごく個性があるんです。
急激に発達する台風もあれば、
ものすごく動きが遅い台風もいます。



台風が南のほうで現れたら、
毎回、データを保存するようにして、
それぞれの動きや大きさを、
あとで比較してもいいかもしれませんね。
写真
佐々木
そのとき雲の大きさにも、
ぜひ注目してほしいですね。
実際の台風がどれくらいなのか。
寺川
おっしゃるとおりですね。
ときどき予報円の大きさを見て、
「ものすごい大型の台風なんだ!」
って思われる方もいますからね。
──
台風の「予報円」って、
実際の大きさとは関係ないんですか?
寺川
そもそも予報円というのは、
「台風の中心が入る確率が70%の円」なので、
実際の台風の大きさではないんです。
みなさん、そうやって誤解されるのも、
やっぱり実際の台風の大きさを
列島と比較してみる機会が
少ないからだと思うんです。
そういう話なんかは、
アースボールを見ながらできそうですね。
──
そういうのは勉強になりますね。
写真
佐々木
それから別の注目ポイントとして、
1週間の雲の動きをながめるだけでも、
日本列島の西から偏西風が
やってきているのがわかると思います。
そもそも天気予報でも
「天気は西から下り坂」って言いますよね。
──
はい、よく聞きます。
佐々木
なんで「西からなの?」って聞かれたら、
それは偏西風によって
西から雲がやってくるからです。
そういうのもアースボールを見せながら、
「ほら、西から雲が来てるだろ」って。
写真
──
もう一目瞭然ですよね。
佐々木
さらに付け加えるなら、
雲の「渦の巻き方」と
「西風の見え方」にも注目してください。



知ってる方も多いと思いますが、
北半球と南半球では渦が反対回りなんです。
低気圧は北半球では左回り、南半球では右回りです。
──
なんとなく聞いたことがあります。
佐々木
で、それがほんとうかどうか
アースボールで確認してみると、
たしかに雲の渦の巻き方は、
北半球と南半球とでは逆になっています。



さらに北半球も南半球も、
どちらも同じように西風が吹いているので、
雲が移動する方向は同じなんですが、
北極から見下ろすと「反時計回り」、
南極を見下ろすと「時計回り」に
動いているのがわかると思います。
──
雲の渦は逆だけど、雲の流れは同じ?
佐々木
そうです、そうです。
北半球と南半球で渦の巻き方が逆で、
移動する方向は同じです。
だけど西風の見え方が違うんですよね。



そういうのって本で見ても
「ふーん」って思うくらいですが、
動くところを見るとけっこう不思議ですよ。
写真
──
いますぐ確認したくなりました(笑)。
寺川
ちょっと別の切り口なんですが、
もし家族でたのしむなら、
こういうのはどうでしょうか。
週末に家族でレジャーを控えてるとき、
アースボールを見ながら天気を予想するんです。
──
ああ、いいですね。おもしろそうです。
寺川
テレビの天気予報で、
3日後が雨マークになってたら、
「どの雲が日本に来るんだろう?」とか。
やっぱり週間天気って、
みなさんすごく気になると思うので。
──
なります、なります。
寺川
自分たちの生活にも関係することだったら、
子どもたちも興味をもつと思うんです。
ずっと「雨予報」だったのに、
突然「晴れ予報」に変わったら、
どこで雲が消えたんだろうとかを考える。
写真
坂本
そういうの、すごくいいですね。
自分からどんどん調べたくなりそうです。
佐々木
そうやって目の前のできごとだけじゃなく、
視野を広くとるってすごく大事ですよね。
梅雨のときも「晴れ・雨」だけじゃなくて、
梅雨前線とはどういうものなのか、
なんでずっと雨がふっているのか、
そこから知ることって大事だと思います。
あの梅雨前線なんか、ほんとうは
5000キロメートルぐらいありますから。
寺川
そうなんですよね。
もともと梅雨前線というのは、
モンスーンとよばれる季節風が
大きく影響していて、
アジアの広範囲に影響を及ぼしている
現象なんですよね。
佐々木
そもそも梅雨前線って、
ヒマラヤの地形が影響してるんですよね。
だから、もしチベット高原がなかったら、
日本に梅雨はなかったかもしれない。
──
すごいスケールの話ですね(笑)。
そういう話、アースボールを見ながらしたら、
子どもたちもびっくりしそうです。
坂本
私もひとつ思いついたのですが、
さっき雨のデータを見ていて、
砂漠ってやっぱり雨が降ってないなって。
佐々木
あぁ、あぁ、そうだ。
寺川
そうですね、たしかに。
坂本
赤道付近はちゃんと雨が降ってるのに、
赤道からちょっと離れた
緯度が30度付近の「亜熱帯高圧帯」には、
ほんとうに雨が降ってないんです。
佐々木
ハドレー循環が見えるわけですね。
私もそれ、ちょっと見ていいですか?
写真
▲アフリカ大陸付近の1週間の降水マップ。
佐々木
ぜんぜん降ってない(笑)。
サハラ砂漠あたりは、もう、
わざとよけてるみたいですね。
寺川
おもしろいなぁ。
坂本
雨が降ってない地域って、
アースボール上の大陸の色も
ちゃんと土色っぽくなっているんですよね。
一方、赤道付近は緑色になっています。
そういう地球全体の大きな循環の話も、
アースボールを見ながらだったら、
わかりやすく説明できそうですよね。
写真
(つづきます)
2020-11-21-SAT
ほぼ日のアースボール