7月1日に一般販売をスタートした
「ほぼ日のアースボール ジャーニー」。
今度は「旅」がテーマということで、
これまで70カ国以上を訪れたという
『地球の歩き方』の宮田崇編集長に
旅の話をいろいろうかがってきました。
コロナ禍でガイドブックの売上は9割減。
一時はブランドの存続が危ぶまれたことも。
ようやく旅行業界に光が見えはじめたいま、
プライベートも仕事もごちゃまぜに
思いの丈をたっぷり語っていただきました。
聞き手は「ほぼ日」の稲崎です。
- ──
- 先日ニュースになっていましたけど、
韓国の観光ビザをもらうために
領事館にすごい行列ができたみたいですね。
- 宮田
- 初日に1000人でしたっけ?
いよいよはじまったなって感じですね。
- ──
- 編集室のみなさんも、
やっぱり盛り上がってきてますか。
- 宮田
- 盛り上がってますね。
すでに編集室からは2名、
取材でトルコとハワイ、
フィンランド、バンコクに行ってますから。
- ──
- もう動きはじめてるんですね。
- 宮田
- ハワイ行って、オーストラリア行って。
すでに編集室は動きはじめてます。
ようやくここまで来たなって感じです。
じつは娘の生まれが2019年10月で、
首がすわった頃にコロナが来てしまったので、
まだ一度も海外を経験してないんです。
なので3歳になるまでには、
絶対に連れて行きたいと思っています。
- ──
- 最初はどこに連れて行くんですか。
- 宮田
- インド。
- ──
- やっぱり(笑)。
- 宮田
- 娘をガンジス河に浸けようと思ってるんです。
産湯のように(笑)。
- ──
- この2年半、ほとんどの日本人が
海外に行ってないと思うのですが、
久しぶりに行くときに
何か気をつけるべきことってありますか。
- 宮田
- ずっと日本にいると
すこし緊張感がゆるむというか、
勘が戻りにくい場合があります。
なので次、海外に行くときは、
一回ピリッとしたほうがいいと思います。
- ──
- それはすごく大事ですね。
- 宮田
- 大事だと思います。
世界中で職を失ってる人も増えてますし、
この2年半で世界の治安も
すこし悪くなってるみたいなので。
ちゃんと気をつけさえすれば
大丈夫とは思いますけど。
- ──
- 日本に来る人も増えるでしょうし、
ようやくここまで来たって感じですね。
- 宮田
- 私の家に世界地図があるんですけど、
コインでこすると国名が出てくるんです。
いままで行った国だけ
コインでこすってるんですけど、
まだ埋もれてるところばかりなんです。
たまにそれ見ながら、
生きてるあいだに全部剥がせたらなぁって。
もし達成できなかったら、
その世界地図を娘にわたして、
あとを引き継いでもらおうと思っているんです。
- ──
- いいですね、親子2代で。
- 宮田
- この2年半、新しい国を
ひとつも削れていないんですよね。
最後に削ったのがブルネイだったかな。
だから次はどこに行けるのか、
いまからちょっと楽しみですね。
- ──
- まだまだ段階的だとは思いますけど、
やっぱりワクワクしますよね。
- 宮田
- じつはこの2年半すごく恐れていたんです。
このまま「地球の歩き方」は
忘れ去られるんじゃないかって。
再び旅に出られるようになっても、
前みたいに旅人に寄り添うことができる
立場でいられるのかなって。
でも、この2年半のあいだに、
旅人に寄り添うための準備をしてきました。
そうやって準備してきたことが
ようやく出せるときが来たんだってと思うと、
恐れもありますけど、
やっぱりワクワクのほうが強いですね。
- ──
- コロナ禍でヒットした
「国内シリーズ」や「旅の図鑑シリーズ」は、
これからも継続されるんですか。
- 宮田
- これはこれで継続してやっていきます。
国内シリーズは気づきもたくさんあったので。
- ──
- 気づきというのは?
- 宮田
- 海外のガイドブックは、
その国に行くときに、
その国を知るために買うものですよね。
でも国内のガイドブックって、
むしろ地元の人が自分たちの地元を知るために
買うという人が多かったんです。
- ──
- あー、なるほど。
自分たちの住む場所を知るために。
- 宮田
- だから「東京」を作って、
誰が一番買ったかというと、
地方にいる人たちじゃなくて
東京都民がすごく買ってくださった。
- ──
- そうだったんですね。
- 宮田
- でも、そこで怒りの声を挙げたのが
多摩地域の人たち。
- ──
- ああ(笑)。
- 宮田
- 東京の多摩地域がたったの
15ページだなんて信じられないと。
いろんなご意見をいただいたので、
思い切って「多摩地域」を作ってみたら、
これがいますごい勢いで売れてます。
眠れる多摩民を起こしてしまった(笑)。
- ──
- さすが多摩の底力(笑)。
ここまで来たら、
いつか「日本編」も出してほしいです。
- 宮田
- じつは作ってるんです、日本編。
- ──
- 作ってる?!
- 宮田
- 本当は「東京」が出たあとに
「日本」を出す予定だったのですが、
規模が桁違いで時間がすごくかかっています。
でも、エグいやつが出ます。
1000ページありますから。
- ──
- もはや辞書!
- 宮田
- 担当が1年ずっとやってますけど、
まだ初稿が1ページも出てない(笑)。
- ──
- さすがに大変ですよね‥‥。
- 宮田
- 取材先への申請手続きが膨大だったり、
コロナの感染者数が急に上がったりすると、
その地域の作業がストップするんです。
掲載準備をしている最中に
休業から廃業になることもあって、
そうなると違う物件を探さないといけなく‥‥。
- ──
- 作ってる最中に情報が変わっちゃうんですね。
- 宮田
- そういう作業をずーっとやってる。
一生終わらないかもって思うときもあります。
でも、いよいよ「日本編」も出ます。
かなりいい本なんで期待していてください。
- ──
- 今日はどうもありがとうございました。
久しぶりに旅の話をたくさんうかがえて、
かなり旅気分が盛り上がってきました。
- 宮田
- こんな話で良かったんでしょうか(笑)。
ありがとうございました。
- ──
- それにしても、
宮田さんの最初の旅のきっかけが、
おばあちゃんが持っていた
『地球の歩き方』だったなんて。
もはや運命ですね。
- 宮田
- しかも「インド編」ですからね。
インドじゃなかったら、
こういう人生じゃなかったかもしれない。
- ──
- そう考えると、
その本を手にしたときから
宮田さんの人生がはじまったとも言えますね。
- 宮田
- あまりに話が綺麗過ぎますけどね(笑)。
でも、さかのぼって考えると、
本当にそこがスタートなんですよね。
そのときはわからなかったけど、
あの日から自分の旅がはじまったんでしょうね。
(おわります)
2022-07-05-TUE
「ほぼ日のアースボール ジャーニー」
2022年7月1日(金)一般販売スタート!
今度のアースボールは、
そのままでも使える本格地球儀です。
世界にあるさまざまな国と地域。
そんなカラフルで多様な世界を、
もっと旅するようにたのしんでほしい。
そんな想いで「ジャーニー」という名前を付けました。
まずは「ジャーニー」を手に取り、
気ままな想像の旅に出かけてみてください。
そしてもっと冒険がしたくなったら、
スマホやタブレットをかざしてみてください。
地球をとびだして、宇宙を旅することだってできますよ。
詳しくは公式販売ページをご覧ください。
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