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糸井 |
河村さん、お忙しい時期に
対談をしてくださり、ありがとうございます。
この会話が掲載される
「ほぼ日刊イトイ新聞」という
インターネットサイトも
最近は、毎日80万アクセスほどに、成長してきました。 |
河村 |
80万部の雑誌っていったら、
たいへんなものですもんねぇ。
……糸井さん、参議院に出たら、
すぐ当選だよ(笑)。 |
糸井 |
(笑)いや、ぼくは、
そういうことはできなくて……誰かに、
何かを言われる場所にいるのがイヤなんです。
「誰からもしばられない」という場所にいる人が、
たまにいると、おもしろいんじゃないかなぁ、
と考えていますので。
いま、農業に関するシリーズ対談をやることで、
「食」のことを考えていきたい、
と思っているんです。
食べものは、やっぱり、人間の基礎ですから。
その第1回目として、
文部科学大臣の河村さんに、
「国の大臣が、今、食についてどういうふうに
考えていらっしゃるか」を、
ぜひ、直にお聞きしたい、と考えました。
今は、一般的には、「食育」という試みを
「文部科学省」と絡めて考えている人って、
まだ、ほとんどいないですから。 |
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河村 |
文部科学省には、
学校給食制度を維持する使命があります。
公立では原則的に実施している
学校給食を管理する役目が、あるわけです。
そこで、学校現場でも、
「食が大事なんだ」と言いつづけていて、
今国会で、新しい法律が出るんですけど、
学校給食を世話している学校栄養士のみなさんが、
今度の法律からは
「学校栄養教諭」になれるようになったんです。 |
糸井 |
先生になれるんですか? |
河村 |
はい。
今までは「給食のおばさん」でしたが、
いよいよ、「先生」になります。
これは、学校現場では、20年来の要望でした。
現場では、教諭じゃないと発言権がないですが、
先生になれば、自分で、企画が作れますからね。
ただ、いまは、
従来の学校栄養士さんが、
まだ1万人しかいません。
学校は4万校ぐらいありますし、一気に
栄養士さんを増やすわけにもいかないので、
残念ながら、現状では全学校には設置できず、
当然、数校の掛け持ちであったり、
ということにはなるんですけど。
学校の図書館司書が、
12学級以上の学校に配属されるような形です。
学校現場で、教諭として現場に立って、
他の先生たちと一緒に、
食を指導できることは、大きいですよ。
今は、「食」から来るストレスや病気や、
いろいろな問題が、あるわけですから。
例えば、朝に、
食事をしてこない子どもが増えてきています。
なぜかと言うと、
お父さん、お母さんが食べないから。 |
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私の郷土の、
山口県の萩市の学校でさえも、なんと、
16パーセントの子どもが朝食を食べていなくて、
町長さんが驚いて、校長先生を呼んで
「そこだけは、ちゃんとしましょう」
と話しあったというんですね。
お父さんやお母さんにも、ちゃんと
食べることの大切さを認識してもらわないと
いけない地点に、さしかかっているんです。 |
糸井 |
先日、「食」のデータを
さらにちゃんと調べた人の本を読んだんですけど、
「ほとんどの主婦がウソをついている」
という、おそろしい結果が出たそうなんです。
早い話が、
「あなたは○○について考えていますか」
という問いに
「あまり考えていない」とつける人は、
ほぼ、まったく考えていないと言うか(笑)。
「食の実態は、由々しきことだ」
と言っているそのデータでさえも、
大ウソだったら、実態はものすごいことになる。
いまの「16パーセント」も、もしかしたら……。 |
河村 |
確かに、
「ときどき朝食を抜く」
を含めると、2割を超えるんです。
……それは「そうとう抜く」のかもしれない。
そういう実態が進んで、アメリカでは、
朝食も学校給食を導入したところが沢山あります。
日本も、放っておいたら、いずれ、
「朝食も、やってくれ」
ということに、なってしまうのかもしれません。 |
糸井 |
朝食までだと、もう、学校が家のかわりですね。 |
河村 |
そういう雰囲気がだんだん高まってきていて、
学校の先生に「家」を求める部分が、
いまは、次第に、大きくなっているんですね。
いろいろな議論になっています。
学校給食反対論者は、例えば、
「学校給食は、食料難の時代にはじまったはず。
だけどいまは豊かなのだから
食事は、各家庭が作ったらいいんだ」
と述べていますが、現状の家庭の「食」は、
そんなことを言っておれない状況なんですね。
学校栄養士さんが先生になるという法律は、
「そんな中で、食べものの大切さを、
学校給食を通してわかってもらいたい」
「栄養素をふまえた食習慣をつけてほしい」
という考えから、できたんです。
第1次産業からは、
食の安全という点から見ても、
その地域で採れた食べものを
その地域で消費する「地産地消」ということが
大きく言われるようになってきています。
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※対談は、明日に、つづきます。
あなたは、「食」と「育」についてどう思っていますか?
家で、こんな食事をしたいんだと想像していることや、
家庭の食の現場について心配していることなどを、
postman@1101.com
こちらまで、件名を「食と育」として
お送りくださるとさいわいです。 |
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