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糸井 |
ちょっとした悲劇が
何かを大きく動かす風になることって、
よくありますよね。
牛問題とかが起きなかったら、
もしかしたら、「食」についての取り組みは、
かつてのままになっていたかもしれないですし。 |
河村 |
ええ。
もちろん、安心で安全な食べものについては、
BSEや鳥インフルエンザへの危機感が、
法律を通す「追い風」にもなったんです。
食べるときの
コミュニケーションって、大切ですよね。
最近、小泉総理が言いはじめて、
このあいだから、毎週水曜の昼に、
空いている閣僚は、官邸に集まって、
食事をしようということになったんです。
1回目は、カレーライスでした。
総理が、ごはんの上にレタスを乗せて、
さらにその上にカレーをかけて食べたんです。
もちろん、話は他のことを話すんですけど、
「こうしたほうがうまいんだ」
「やってみよう」
そういうきっかけには、なりますから。
私は、学校給食を食べようと提案しました。
近所の、麹町小学校から取り寄せるんです。 |
糸井 |
そういうことって、大きいですねぇ。 |
河村 |
ぼくも過去に何度か
学校に視察に行ったんです。
大抵、お昼の時間に学校給食を食べることに
なっているんですけど、おいしいんですよね。
法務政務次官をしていたときには、刑務所で
受刑者と一緒に食事を食べたことがありますが、
あれも、けっこうおいしかったんです。 |
糸井 |
へぇー。
「クサいメシ」とか言うけど。 |
河村 |
クサくない。おいしい!
居心地、よかったですよ。 |
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糸井 |
「食」と「育」について、
栄養士さんが先生になるという法律の、
次のステップは、河村さんは、何だと思いますか? |
河村 |
食べ方の一覧表を作るとか、
指導するとかいうことももちろん大切です。
指導要領にも入ってきますし、
授業でもとりあげたり、
父兄に対しても伝えられることが増えます。
保健室にかけこむ子どもたちがいますけど、
その子たちの健康相談にも、
食べものの面から、入っていくことができる。
これは、とても大切なことです。
ただ、もうひとつ大事なことは、
校長先生以下、学校にいる先生方にも
「食育」を理解してもらうということ。
話は、そこに進むと思うんです。
栄養士さんが子どもたちの先生として
活躍すると同時に、学校の先生がたにも
一緒に学んでもらうことになるでしょう。 |
糸井 |
なるほどなぁ。
よく報道されている
「虐待されている子どもたち」は、
食事の面でも、たいへんでしょうねぇ。 |
河村 |
「食事面で日干しになって動けなくなる」
というケースが、多々ありますからね。
虐待する親が、食事を取りあげてしまう例。
虐待にかぎらず、アトピーだとかでも、
食事の影響が非常に大きいですよね。
私の子どもの四人のうちふたりが
アトピーでしたが、最初は、どうしたら
泣きやむのかわからないんですよね……。
揺らしてあやしたりしていましたが、
あれは、いまから考えると、
「子どもを揺らしすぎると危険だ」
という虐待にあたってしまうおそれがある(笑)。
子どもは、かゆくてたまらないから
泣いていたんだし、
かきむしるから血が出ていた。
それは、食べものから来ていたんだということに
気づかなければいけなかったわけです。
知識を持っていないと、わからないんですよね。
学校で「食」について学ぶという機は、
だいぶ、熟しつつあったんです。
子どもの肥満、子どもの糖尿病があります。
子どもに関わらず、糖尿病予備軍が
ものすごく増えてきている背景には、
食習慣が大きいと認識されてきましたよね。
予防には、小さい頃から
正しい習慣をつけるしかない、となってきた。 |
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糸井 |
アメリカでは、もう、
死亡原因の第1位が肥満ですから……。
ついに、ガンを超えてしまった。
ほんとに、人が太ってきていますよね。
安くていつでも手に入るものを食べて太る。
お金持ちは少なく食べてやせていて、
お金持ちじゃない人が
ジャンクフードで太っているという構図が、
アメリカではふつうになってしまった──。
日本も、このままだと、いずれ、
そうなりますよね? |
河村 |
ええ。
ますます、そうなってきていますよね。
アメリカでは、社会的な問題で、
採用条件に「肥満かどうか」が
取りあげられるようにさえなっていますが、
それでも、肥満はなかなか減らないですから。 |
糸井 |
食料が足りていない時代に
「カロリーを取ろう!」という認識があって、
「とにかく、しっかり食べよう」
という時代のまま、今に至っちゃったんですよね。
実際、栄養素のバランスを取って、
専業主婦じゃない人が食事を気にするのは、
ほんとうにたいへんでしょう? |
河村 |
私は毎日、食事ノートをつけているんです。 |
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前々から、ちいさな手帳につけていましたが、
いまは、一緒に暮らしている三女が
見つけてくれたノートを使っています。
栄養素別に、五色に分けて記入するんですね。
カロリー計算までするわけではないのですが、
書くことによって、バランスの取れた食事かを
考えるようになるんです。
料理屋さんに行っても、
献立をもらってきたりしてね。 |
糸井 |
すごいなぁ。
毎食のノートをつけるのって、
「ひと仕事」ですよねぇ……。 |
河村 |
もらった献立には、
「何々風」
「何々焼き」とか書かれているので、
材料がわかんなかったりするんです。
ぼくは、素材を聞きたいのに(笑)。 |
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※対談は、明日に、つづきます。
あなたは、「食」と「育」についてどう思っていますか?
家で、こんな食事をしたいんだと想像していることや、
家庭の食の現場について心配していることなどを、
postman@1101.com
こちらまで、件名を「食と育」として
お送りくださるとさいわいです。 |
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