おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson968
読者の声 ー ちいさな不安をだれかに話す

先週、コロナ対策自粛期間中の、
私のこっぱずかしい不安を書いたところ、

「コロナの不安と、私はこう向き合った」

と、読者から、
実体験に基づく、しみるおたよりが届いた!
さっそく紹介しよう!

<傲慢のカタチ>

私は、一人暮らしのころ、
借りていたアパートのコンロが
電気コンロからIHに変わり、
買い替えるフライパンを間違えて
ものすごく落ち込んでしまったことがあります。

当時の私は、
よくわからない絶望感に打ちひしがれ、
暗い部屋で電気もつけず、うじうじしていたんです。

先週のコラム「ちいさな不安をだれかに話す」
を読み、その中に、

「“この私が、トイレットペーパーごときで、
不安になるなんてありえない”と、
自分をかいかぶっていた。
小さな不安さえ、自分で認めるには勇気がいる」

とあり、まさに私も、
「この私が、コンロごときで」のカタチ
だったんじゃないかと。

「この私がコンロごとき簡単なこと、間違えるはずがない」
「不安になるなんてありえない」
とか思うから、
実際に不安になった時に、

「私ってこんなに弱い人間だったのか‥‥」

と感じてダブルパンチにもなりますよね。

自分の弱さを見つける、見つめるって、
ほんとうに勇気のいることだなって思います。

さて、うじうじと落ち込んでいた私は
その後、母と電話をし、
「フライパン間違えた事件」を話しました。
その後、落ち込みはなくなったように
記憶しています。

現在、事件は、笑い話に。
まちがって買ったフライパンは、
実家のガスコンロで現役で活躍しています。

「私ごときがこの程度のことで!!」

などと、なんで思ってしまったのでしょうかね。
自分が、いかに傲慢か。

不安は、つい「自分ひとりで解決しなきゃ!」
と思ってしまいがちです。
これも傲慢の一つのカタチなんですね。

張りぼての自信、見かけだけの自信、
「そうあらねばならない」と強迫的な自信、
いずれも、

「自分の中の小さな不安を、
なかったことにしてしまうもの。」

小さな不安を消し去ってしまうことが勇気ではなく、
小さな不安を自覚し、認め、
他の人にも開示できることが、
本当の勇気なんだと思います。

(おすみ)

<なぜ、夫とここまで大ごとに>

私は、夫と息子と暮らしています。
毎日の食事時に些細なことでも話す機会が
多い方だと思います。

それでも今回の(コロナで)社会実験のような状況に
陥った時の「不安」は、うまく言葉にできず、
自分の中でくすぶっていました。

そんな時に、夫が言った
「私の生活態度を笑うような言葉」で、
私は深く傷つきました。

それまでたまっていた「不安」を、
大粒の涙とともに吐き出しました。

夫は、最初は私の八つ当たりかと、流そうとしました。

私は、こんなことでは一緒に暮らせないと思い、
離婚前提の話し合いを要求しました。
そして1週間ほど、寝室を別にしたり、
家事のストライキをしたりしました。

結果、次に同じように私を傷つけることがあったら
話し合う機会すら与えずに離婚になることを話しました。

「小さい不安の時に、何とか言語化できていたら、
夫も引くような怒りにならなかったのだろう。」

でも、私は押さえつけてしまい、
それを笑いに変えて、しのごうとしていた。

夫は、私が笑いにすり替えた不安を、
不安と思わずに一緒に笑い話にしようとして、
私を傷つけたことに気づけなかった。

「ここまで大事にしたのは私自身だったなあ。」

夫との関係性も、
もう一度よく考えてみたいと思います。

(キムコ)

<感情に振り回されないために>

私は、医師をしています。

新型コロナウィルスの流行で様々な情報が飛び交い、
正直なところ大きな怒りを感じていました。

「正確な情報や事実を伝えることが
マスコミの役割なのに‥‥。」

情報番組やインターネット上にあふれる記事から
距離を置くようになりました。
距離を置いてみて気がついたことは、

「立ち位置」が違う。

立ち位置は、ここで、
「立場や価値観・発言の目的など、
発信した情報の背景にあるもの」
として表現します。

「立ち位置」が異なる情報に、
私の「立ち位置」を押し付けて、苛立ち傷ついていました。

「鈍らない為にどうするか?」

もう1年以上前、「Lesson911鈍る」を
読んでからずっと、
私はこの問いを抱えてきました。

コミュニケーションで言葉が「鈍る」の反対は、
「研ぎ澄まされる」、というふうに、
考え続けてきて、やっと、

「研ぎ澄まされていることは、
自分と相手の“立ち位置”を自覚していること。」

と、自分なりに答えが出ました。

じゃあ「研ぎ澄まされる」為に何をしたら良いのか。

先週の「ちいさな不安をだれかに話す」の、
「まずは小さな不安を、自分で認めることから」
がそれだと感じました。

自分自身の感情を受け入れること。

私の場合は、

「怒りと悲しみを受け入れ、
それが自分のどこからやってくるか考えること」

で、自分の立ち位置を認識出来ました。

困難な状況の中で生じる感情に振り回されるのではなく、
感情を受け入れ自分の立ち位置を確認しながら
研ぎ澄まされていくこと。

私なりのコロナ対策です。

(昌平)

ズーニーです。

立ち止まって考えたときに、どの読者も、
「はっ!」と、自分の想いに気づく、
その掘り下げが素晴らしい。

掘り下げて、自分と通じた瞬間、
すーっ、と霧が晴れるように人との関係も通じる。

読者にそう教えられた。

もう1通紹介して、今日は終わろう。

<不安こそ自分>

緊急事態宣言が出てから、
驚くほど患者さんが来られなくなりました。

こういう時こそ後回しになっていることをやろうと、
事務仕事や大掃除などにせいを出していますが、

「コロナが収まっても、
患者さんは戻ってこないのではないか?」

と不安に襲われています。

コロナはいつか必ず収まるし、
その時「あの時こうしとけばよかったな」と
思わないですむように、
何をするべきか考えながら日々過ごしています。
ですが、収まったとしても元に戻る保証なんてない
と思うと不安になるのです。

実際どうなるかは分からないし、
やれることをやるだけと思っているのに
出てくるこの不安を掘り下げて行くと、

「開業してからずっとつきまとっているものではないか」

と改めて思い当たりました。

初めての患者さんを診る時には、
結果は出せたか、満足してもらえたか、
次来られるまで不安ですし、

初めての勤務先では、
ここで通じても、他ではダメかもしれないと不安でした。

だとしたら、
自分がこの世界にいる限り不安はついてくるし、
むしろ不安こそが自分そのもので、
弱い所からのシグナルなのでしょう。

ただ、その現れ方は思いがけない形だから、
振り回されそうになります。

だからこそ、

押さえつけたりせず認める必要があります。

そのために人の力を借りる必要もあるでしょう。

人に、自分の不安を受けとめてもらえた時、
自分も、自分のありようとして不安を受け入れられる
と思うのです。

(たまふろ)

ツイートするFacebookでシェアする


【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



関連コンテンツ

今日のおすすめコンテンツ

「ほぼ日刊イトイ新聞」をフォローする