Lesson969
「私を見て」と「私の生み出すものを見て」
2020-06-03
女の子が数人いると、すぐ、
美醜が比べられ、
どれがタイプか選ばれ、
恋愛対象・性的対象で見られてしまう。
いや、性別を問わず、スポーツ選手でさえも
そんな目で見られてしまう、
私はそういう文化がどうもなあ。
「その人でなく、その人の表現を見て」
その人の言ってる言葉、
ふるまい、生み出す作品、
そこに表れる想い・考え・意志・価値観、
を見てほしい。
「私を見て」と、「私の生み出すものを見て」。
どちらも尊い仕事だし、
パッキリ分れるわけでもないが、
私の勝手な推測で、ビリーアイリッシュは、
「私の音楽を聴いて」
の人だと思う。
もちろんアーティストは良い意味で変化する。
こんなふうに型にはめられたくないだろうし、
実際、つい先日、本人がそういうメッセージを
発信したばかりだし。心得てはいるが、でも、
2020年グラミー賞のとき、彼女が、
自分のアートに目が行くように、
18歳の美しい女の子だからといって、
容姿だのタイプだのが取り沙汰されないように、
「自分の音楽を聴いてもらえるように」
自分の立ち位置を持っていってる、
とあくまで私個人には思えた。
ビリーと同じ世代の人たちには
(それぞれだしそういう人ばかりじゃないけど)、
美醜を気にし、ダイエットに励み、
少しでも細く、可愛く、見られたい人も多い
(それもとてもいいことだけど)。
そんな中で我が道を行くビリーが私には新鮮だった。
私自身は、18歳の時、
コンプレックスがあって、
落ち込んだり、あがいたり
別の意味で美醜にとらわれていた。
「可愛いかどうか、人に好かれるかどうか」
で悩んでおり、
「自分が何を生み出したいか、そのためにどうするか」
というふうには全然考えていなかった。
「何もしないでいるから、美醜で比べられ、
落ち込み、結局、自分で嫌だ嫌だと言いながら、
美醜のモノサシに絡めとられちゃうんだよ、私」
と当時の自分に声をかけてあげたい。
自分の生み出すもので勝負する道もあるんだよと。
「私を見て」と、「私の生み出すものを見て」、
どちらの仕事も尊く、貴賤はない。
パッキリ分れるものではないし、
この間で、または、この両方で、やってる人も多い。
良い悪いでない、「選択」の話だ。
自分に合った選択かどうか?
美しく生まれたばっかりにスカウトをされ、
なんとなくあまりよく考えずに
「私を見て」の仕事に就いた人が、
本当にやりたかったのは、
「自分の生み出すもので勝負することだった」
と気づく場合もある。
SNSで叩かれた時、両方ともツラい。
でも、その辛さの色はちがう。
バイオリンの演奏者なら、叩かれたとき、
演奏技術の向上、訓練、というかなりはっきりした
出口を見出せる。
でも、「私を見て」が成立する人は、
つまり本人の地の部分に魅力がある・容姿が抜群・
話が面白い、など、かなり素に近い「その人そのもの」が
求められて仕事になっている人は、叩かれた時、
「結局、自分を磨くしかない」
という、かなりバクゼンとした出口に
追い込まれがちだ。
いつのまにか、美醜が比べられ、
自分が消費され、プライベートまで切り売りされ、
ということも、「私を見て」に寄った仕事で起きやすい。
「私を見て」と、「私の生み出すものを見て」、
あなたの心は、どっちに向いているだろうか。
私自身は、自分の表現したいものをしっかり持って、
その技術や能力を磨いて生きて行く過程で、
自然に自分自身も磨かれて、魅力的になっていく、
というのが理想だ。
「私を見て」と、「私の生み出すものを見て」、両方を
行ったり来たりできる人は自由でいいな、と私は思う。
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想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
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――山田ズーニー。
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おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
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自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
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PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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