石田ゆり子さんの「好きなもの」。
第1回 古くなってこそかわいいものが、 好きなんです。

糸井
犬の散歩のときにお会いして以来ですね。
石田
すいませんです、その節は。
糸井
いいえ。
向こうからね、すごいきれいで
姿勢のいい人が歩いてくるんです。
一同
(笑)
石田
青山で。
糸井
素人じゃないんです、それが。
石田
素人じゃない(笑)
糸井
あれは何? モデルさん・・・・?
でもモデルの雰囲気じゃない。
街に溶け込んだ感じで、
ただ姿勢のいいきれいな人なんですよ。
石田
(笑)
糸井
そうしたら、石田さんだったんですよね。
石田
わたしはもう、糸井さんとブイヨンの
ツーショットに会えたということで、
舞い上がってしまって。
 
糸井
(笑)
石田
毎日「ほぼ日」を見てると、
知り合いだと思ってるわけですよ、
ブイヨンをふくめて。
糸井
はいはい。
石田
「ブイちゃーん」って、なれなれしく、
ほんとうにすいませんでした。
糸井
あんなもので、すいません(笑)
石田
いえいえ、もううれしかったです。
それで、あのう‥‥。
糸井
はい。
石田
何を、どうお話ししようかって、
きのうからずっと考えてて。
糸井
ぼくもきのうから考えていることが
1つあって。
石田
はい。
糸井
ものを買うとか、集めるとか、捨てるとか。
そんなようなことかなあ。
石田
ああ、はい。
糸井
「自分の周りに好きなものがある」状態って、
やっぱり一生懸命買って、集めて、捨てていかないと、
そうならないですよね。
そういうことについて、男はわりに無精で。
オタク性のあるコレクションだったら
けっこう一生懸命なんですけど。
 
石田
そうなんですか。
糸井
石田ゆり子さんを見てると、
ていねいに1つずつ集めて、
1つずつ成仏させてる気がするんです(笑)
石田
成仏(笑)
でも、ものは好きですね。
糸井
好きですよね?
石田
買い物大好きですね。
糸井
はぁー。
石田
で、ものを手当たりしだいに
買ってるつもりはないんですけど、
たぶん人よりは買ってると思います。
糸井
うんうん。
石田
たとえばきょう、アンリさんのアクセサリーを
持ってきたんですけど、なんか、
ゆくゆくは自分の血となり肉となるところが
好きというか。
古くなってこそかわいいものが、好きなんですね。
新しいときが一番いいものって、
あまり興味がなくて。
 
糸井
なるほど。
石田
このTシャツもそうだし、着ているうちに
どんどんかわいくなっていくというものに、
無性に惹かれますね。
そうなっちゃうと、もう買わずにはいられない。
糸井
ちっちゃいときって、
「古くなってこそかわいい」というのは、
概念として持ってないでしょう?
石田
そうですね。
糸井
若いときには思えないですよね?
なかなかね。
石田
そうですね。
はじめはキラキラした、そのときどきで
一番きれいなものが好きだったんですけど、
そうですね、やっぱり25ぐらいからですかね?
糸井
はぁー。
何かの曲がり角なんですかね?
石田
お肌の曲がり角(笑)
いやぁ。
糸井
たぶん最初から
シブいものが好きだとかっていう人は
なかなかいないと思うんですよね。
石田
そうですねぇ。
糸井
キラキラものは興味持ったことあるんですか?
石田
好きですよ。
糸井
あ、そうですか。
石田
はい。
でも、華美なものはあんまり。
糸井
(ブレスレットを見て)
いまも、ひとキラしてますね。
石田
わたしの一張羅です。
一張羅がたくさん隠れてるんです、きょうは。
糸井
(ネックレスを見つけて)
あ、ひとキラもふたキラもしてますね。
石田
ただ、あまり見せないで、
自分だけ、わかってればいいっていうことですね。
糸井
はぁー。
あのう、減らしていく志向ではないんですね?
石田
え?
糸井
どんどん減らしていきたいっていう人も
いるじゃないですか。
石田
あぁー。
糸井
「なんにも無いのがいいの!」みたいな。
石田
それは、すごく憧れるんですけど、
わたし、いま40なんですけど、
40年間生きてきて、一度も実現できなかったので。
糸井
あぁー。
石田
絶対無理だと思ってあきらめました(笑)
(つづきます)

2010-08-17-TUE