糸井 |
なんとなく、ものは欲しがるけど、 ふやさないように、してそうなんですが。 |
石田 |
いや、そんなことないですよ。 |
糸井 |
そうですか? |
石田 |
うちに来た友人はみんな、 「え? こんなはずじゃなかった」 って、言います(笑) |
糸井 |
汚い? |
石田 |
「え? え? ちょっと待って」っていう感じで。 小学生の部屋みたいなんです。わたしの部屋って。 |
糸井 |
あ、そうですか。 |
石田 |
はい。 あのう、なんて言ったらいいんでしょう? たとえば拾った石とか、拾った木ぎれとか、 ガラスとか、そういうものがあります。 |
糸井 |
よく拾ってますね。 |
一同 |
(笑) |
石田 |
天然のものに弱くて。 石とか貝とか大好きです。 |
糸井 |
はぁー。 |
石田 |
だから、「捨てたほうがいいんじゃない?」って 人は思うみたいです。 |
糸井 |
それに対しては、ある程度こう、 目をかけてるんですか? |
石田 |
はい。 |
糸井 |
それができるっていうのは、すごいですね。 |
石田 |
いえいえ、そんな。 |
糸井 |
集めても、放ったらかしになっちゃってたら、ねえ。 |
石田 |
でもほんとうは、何が一番自分に必要なのか もっと見極めて‥‥。 |
糸井 |
(笑) |
石田 |
1つのものを大事にしていったほうが いいに決まってるんです。わかってるんです。 ただ、あまりに好きでしょうがないので。 |
糸井 |
好きで。 |
石田 |
もういいんです。そういう性分だなって。 |
糸井 |
そういう性分(笑) |
石田 |
すいません(笑) |
糸井 |
なんとなく想像がつくようなつかないような。 ちっちゃいときも拾ってたんですか? |
石田 |
拾ってました。 |
糸井 |
石とか貝とか? |
石田 |
はい。 |
糸井 |
あの、姉妹がいらっしゃいますよね? |
石田 |
はい。 |
糸井 |
みなさん、そういう感じですか? |
石田 |
いや、わたしだけですね。 |
糸井 |
わたしだけですか(笑) |
石田 |
はい。 |
糸井 |
ご両親は? |
石田 |
両親はぜんぜんちがいますね。 |
糸井 |
はぁー。 「わたしだけ」? |
石田 |
わたしだけですね。 こんなにこう、ものにいちいち執着したり、 色にうるさいとか、肌ざわりがどうとかって、 いちいち、いちいち語りたがるのは(笑) |
糸井 |
見せるんですか? その集めたのは? |
石田 |
見せます。 いや、うーん、見せるようになってるものもあり、 自分にしかわからない場所に ひそんでるものもあり(笑) |
糸井 |
(笑) |
石田 |
もう自己満足に近いですね。 |
糸井 |
はぁー。 わかる部分もあるけど‥‥。 |
石田 |
わからないですか? |
糸井 |
ぼくは、そこの面積が小さいんですよ。 わからなくもない、くらいの感じで。 そういえば、子どもがちっちゃいころ、 どこかのロケに行ったんですけどね。 |
石田 |
はい。 |
糸井 |
そのときは、お土産を買わなかったんです。 お土産ってだんだん、買う側も飽きてくるんですね。 同じようなものになってきたりして。 |
石田 |
ああ、はい。 |
糸井 |
で、「今回はお土産ないよ」って言ったら、 すごい悲しそうな、思ったより悲しそうな顔して。 「かわいい石ころとかでもよかった」 って、言ったんです。 |
石田 |
かわいい(笑) お嬢さんですか? |
糸井 |
お嬢さん。 |
石田 |
かわいい。 「石ころでよかった」って、かわいいですね。 |
糸井 |
つまり、ぼくはお土産に何か企画を求めてたんだけど、 彼女は「かわいい石ころとかでもよかった」。 |
石田 |
うーん、わかります、それ。 |
糸井 |
「のに」がついてなかった感じがするんですよ。 |
石田 |
(笑) |
糸井 |
たとえば、葉っぱとかね。 |
石田 |
かわいいー。 |
糸井 |
おままごとの発想ですよね、ほとんどね。 その後、彼女はそういうふうに、 なんか集めてますよ、たしかに。 |
石田 |
そうですか。 |
糸井 |
ゆり子さんところがどのくらい散らかってるか、 きれいかわかりませんけど、 その「石ころでもよかった子」は散らかってます。 |
一同 |
(笑) |
石田 |
わたしも散らかってて、ぜんぜん整然とはしてないです。 石ころは石ころの場所にかたまってたり。 |
糸井 |
あぁー。 |
石田 |
かためるのが1つの法則ですね。 蝋燭(ろうそく)も、すごく好きなんですけど、 蝋燭は蝋燭の場所があって。 |
糸井 |
はぁはぁはぁはぁ。 |
石田 |
ギュッと詰まってます。 |
糸井 |
分類ができてるんですね、あるていど。 |
石田 |
自分の中ではありますね。 |
糸井 |
あなたの生活のまわりにある、かわいいものたちは、 これからどうなっていくんですかねえ? 捨ててくわけにもいかないんでしょうけど、 |
石田 |
ねえ。いやぁ‥‥。 |
糸井 |
ものにお別れしたこともあるんですか? |
石田 |
もちろんあります。 |
糸井 |
どんなふうに? 言い聞かせるんですか? |
石田 |
そうですね(笑) なんであれ、この子はわたしといないほうが 幸せだなっていう時期は、やっぱり来るわけです。 |
糸井 |
あぁー。 |
石田 |
「もう他の人にかわいがってもらったほうが いいんじゃない」って。 まぁ、主に洋服ですね。 |
糸井 |
あ、なるほど。 |
石田 |
だから、買うときも、逆に、 うちに来たら幸せだろうなって思って買います。 |
糸井 |
ああ、そっか。 |
石田 |
やっぱりものをふやすと、買うときはたのしいけど、 結局それをケアしていかなきゃいけないし。 |
糸井 |
そうですね、うん。 |
石田 |
服なら着てあげなきゃいけないし、 洗わなきゃいけないし。 結局、大変なものを一緒に背負い込むわけで。 なんかわりとそういう気持ちで買いますね。 |
糸井 |
じゃあ、別れって、機会としては少ないですね? |
石田 |
そうですね。どんどんなくなっていきます。 別れるだろうなと思う物を買わなくなるので。 |
糸井 |
あぁー。 |
石田 |
だから、そのうち、うちはきっと、 人が入らない博物館みたいになるんじゃないかなって。 |
一同 |
(笑) |
石田 |
見るほどでもないけど、 でも、見せるものがたくさんあるような。 |
糸井 |
猫屋敷ですね。 |
石田 |
そう、猫屋敷(笑) |
糸井 |
「わたしと暮らす?」って話をしたものが来て。 で、ゆり子さんがいなくなっても、 猫だけがこう、いるっていう(笑) |
(つづきます) |
2010-08-18-WED