怪・その29
「闇に光る眼」
ある夏の夜のことです。
実家に里帰りしていた私と妹は、
一人暮らしでついた夜更かしの習慣が抜けず、
「疲れたら眠れるだろう」と
コンビニへ行きがてら、
近くの公園を散歩することにしました。
深夜1時。田舎なので
街灯も少なく、車も通らず、
人の気配がほとんどありません。
その公園の隣には病院があって、
4年ほど前に数百メートル先に新しい病院が出来てから
その病院は使われていません。
コンビニへ入り、雑誌や飲み物を買って、
公園を大きく回りながら帰ることにしました。
古い病院の職員用駐車場に通りかかったときです。
少し後ろを歩いていた妹が、小さく
「あっ」
と言って立ち止まりました。
どうかしたのかと思って振り返ると、
立ち止まって病院の2階の窓をじっと見ています。
小さい街燈に照らされた妹の顔が青白く、
見上げている妹の眼が
ぬらぬらと光っているのを見て寒気がし、
「早く帰ろう」と手を引っ張りました。
早足で歩きながら、
妹は「白い影がいた」と、
「こっちを見て笑った」などと話します。
もう街燈からは離れたのに、暗い中、
妹の眼はさっきより気味悪く光っていました。
結局その日は2人とも朝まで眠れませんでした。
(アラタ)
2005-08-25-THU
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