おさるアイコン ほぼ日の怪談2006

怪・その14
「塀を見ていた」

今から3年ほど前の、夏の出来事です。

私は、リビングから外を、
薄いカーテンを隔てた窓越しに眺めていました。
すると、家の前の道路に
見知らぬ白い軽自動車が1台停まりました。

『うちに誰かお客様かな?』と思いながら眺めていると、
車から降りて来たのは、
主人の叔母さんのご主人、Aさんでした。

私は、『あっ、Aさんだ! 珍しいな〜』
(我が家に来たのは、新築祝いの時だけなんです。)
なんて思いながら、Aさんを窓越しに見ていると、
丁度そこへ主人の父が車に乗って通りかかりました。

義父は、一瞬車を停め、我が家の方を見て
(Aさんの方を見ていたのかも?)、
すぐに車を発進してしまいました。

私は、普段ならAさんに声を掛けるはずなのに、
おかしいな〜と思いながら、Aさんを見ると、
Aさんは、我が家をコノ字型に囲んでいる塀を
眺めていました。

何してるんだろう? と思いながら、トイレへ。
トイレから戻って来ると、
Aさんは居なくなっていました。

その後、義父が家の前を通りかかったので、
呼び止め先ほどの事を話すと、義父は‥‥

「さっきの人はAさんではなく、
 Aさんの双子のお兄さん。
 そのお兄さんは、現在、ガンで病院に入院中で、
 Aさんもその病院にかけつけている。」

さっきは、義父も病院に
双子のお兄さんのお見舞いに行っていたそうなんです。

義父は、
「この家の周りの塀は、双子のお兄さんが
 作ってくれたんやで。もしかしたら、
 自分はもうこの世には居られないから、
 生霊になって、様子を見に来たのかも。
 お兄さんがこの家の前に居て、悪い予感がしたから、
 さっきは急いで病院へ行ってきたんや。」
って言ってました。

私は、そんなに霊感は強い方ではないのですが、
親族に関する事だけ霊体験があるのです。
義父も親族に関する事だけ、
何度も霊体験がある人なのです。

今まで、私にはこんなにハッキリと見えたことは
無いのですが、多分、義父が近くにいたので、
私にもハッキリと見えたのかもしれません。

この数日後、お兄さんは亡くなりました‥‥。

(ポチ)


「ほぼ日の怪談」にもどる もう、やめておく 次の話も読んでみる
2006-08-14-MON