怪・その35
「存在しないフロア」
もう20年前以上の話しになります。
当時、私は高等専門学校の2年生でした。
その学校は1、2年の間は全寮制で
私は4棟ある建物のひとつで日々過ごしていました。
ある日、2階の自分の部屋のあるフロアから
4階の友人のところに行こうとしていたと
記憶しています。
階段をタンターンと駆け上がり
(エレベータはなかったので)、
目的の階にたどり着いたので顔を上げると
なぜか廊下全体がもやが薄くかかったようにぼやけ、
周りを歩いている何人かも、
記憶に無い顔ばかりでした。
「階を間違えたのだろう」と1階分降りると
そこは目的の4階のフロアでした。
4階建てのその建物に5階というフロアは
最初から存在しないのです。
そのとき、なぜか恐怖を感じなかった私は
もう一度階段を上がってみたのですが、
今度は屋上に出てしまいました。
在学中何度もその建物を上り下りしましたが、
それ以来、
あるはずの無いあのフロアには
2度とたどり着くことはありませんでした。
(cook-TAMA)
2006-08-30-WED