怪・その3
「ねえ、ねえ」
10年前、高校生の時に先輩から聞いた話です。
先輩が睡眠不足で登校した日、
3時間目くらいに体調が悪くなって
保健室に行ったそうです。
しばらくベッドで眠らせてもらえることになり、
前日の睡眠不足もたたって、
かなり熟睡をしてしまいました。
次に気がついた時には保健室に誰もいないようで、
「あ、昼休みになったのかな」と思ったそうです。
でも、まだまだ眠かったので、
お昼食べずに寝てよう、と
もうひと眠りする体勢に入りました。
すると、
「ねえ、ねえ」
背後から誰かが話しかけくるんです。
友達が起こしに来たのかな? と思ったけど、
カーテンの周りに人影はありません。
めんどくさかったので無視して寝ていると
また
「ねえ、ねえ」
「ねえ、ねえ」
と声が聞こえてきます。
しかし保健室には先生もいないようで、
人の気配がないのです。
誰なんだろう、と寝返りをうって振り返ると、
カーテンレールの上に腕をかけて、
こちらをのぞいている
女の子がいました。
その彼女は、先輩に向かって、
「ねえねえ、
なんで、
そんなところで、
寝てるの?」
と言ったそうです。
次の瞬間、先輩は気を失ってしまい、
目が覚めたときには夕方で、
保健の先生にとても心配されたそうです。
(きょん)
2008-08-01-FRI