怪・その3
「這ってくる気配」
昨年の秋口の出来事です。
その晩、彼が私の部屋に遊びにきていました。
仕事帰りで疲れていたこともあって
彼は自分のアパートには戻らず、
私の部屋に泊まっていきました。
その日は私が客人用の布団を使い、
彼は私のベッドで眠りについたのです。
深夜、
ふと、足もとから
何かが這ってきている感覚をおぼえた彼は、
そのときは
「◯◯(私の名前)かな‥‥」
と、ぼうっと思ったそうです。
しかし、その瞬間
そばで眠る私の寝息が聞こえ、
じゃぁこれは‥‥
と、意識したと同時に、
背中から這い上がってくるような寒気があり、
「ニガシタ‥‥」
と、絞り出すような女の声が
耳元でしたそうです。
霊感のない私は、
自分の部屋にそういうモノが
訪問していることなど
知る由もありませんでした。
でも彼は
はっきり言わないだけで、
何度か私の部屋で体験しているそうです。
(リンダ)
2010-08-03-TUE