怪・その11
「守られて」
当時の彼氏は、
自称、「見える人」でした。
でも私はまったく「見えない人」だから
彼の話してることが本当なのか嘘なのかも
わからないし、
ちょっと大風呂敷を広げるクセのある人なので、
信じていませんでした。
彼のそういうところに愛想が尽きて、
別れ話をしたのですが、
いっこうに聞いてもらえません。
一生つきまとってやる、
別れる気はない、と‥‥。
そんなある日、
彼が突然「別れる」と言い出しました。
理由を聞くと、
車を運転していると、
男の人が
フロントガラスに飛びついてきたそうです。
その男の人は、
私のマンションのベランダでも
見かけたことがあると。
きっと私と別れるまでこういうことが続く、
こわいから別れる‥‥、とのことでした。
私は、その人はきっと、
私が18の時に亡くなった、父だと思いました。
父が私を守ってくれている、
今もそう感じて過ごしています。
見えないけれど、今もきっとそばにいると。
(shiho)
2010-08-11-WED