おさるアイコン ほぼ日の怪談2010
怪・その31
「国道のうわさ」


うちの父は建設省(今の国土交通省)に
勤めておりまして、
国道にかかわる仕事をしていました

そのころ、
ある山奥の小さな町にある、
国道沿いのトンネルを出た場所で、
小学生の男の子が
車にはねられて亡くなるという
痛ましい事故がおきました

はねられた衝撃で飛んでしまった
その子の片方の靴だけが、
どうしても見つからず、
警察の人や地元の人も
一緒になって探しましたが、
結局、見つけることができなかったそうです

しばらくして、そこの道を通行する車から
国道の管理事務所に
電話がかかってくるようになったそうです。

「深夜に小学生の男の子が歩いている」

「急に人が出てきたので
 ブレーキを踏んだが誰もいない」

など‥‥。

男の子が靴を探しているのではないかと
小さな町は大騒ぎになったそうです


あまりに電話のくる数が多かったので、
その場所に明るい街灯が
いくつも建てられ、トンネル内のライトも
とても明るいものに換えられました

明るくなったおかげで
靴を見つけることができたのか
そのうち
男の子を見たという話も、
いつしか話題に上がらなくなったそうです

「幽霊話で行政が動くことがあるんだなぁ」
と、30年以上経った今も、
夏になると思い出します。

(よねっち)


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2010-08-27-FRI