怪・その42
「嫌な予感」
私が結婚する前に
一人で住んでいたときに遭った体験です。
たまに金縛りがおきたりすることも
あったのですが、
ちょっと変わっていて、
浮遊感があったり、風を感じたりする、
怖いと言うよりも
「あれ、ちょっと楽しい‥‥」
というものでした。
なので、
その日も体が動かなくなったときは、
目を閉じながら
「きたきたきた‥‥」とワクワクしました。
しかし、
フワッと感もなく、
少し生臭い匂いと、
サッサッという
シーツのすれる音だけがしてきます。
嫌な予感がして、唯一動く瞼を開けると、
私のベッドに手を掛けて
メトロノームのように一定の速さで
首を左右に振る女の人がいました。
無表情のまま
目だけはずっと私を見ています。
そのまま私は気絶をしてしまったのですが、
襲ってくるわけでもなく、
ただ淡々とその場に
存在するだけの恐怖もあることを知りました。
(すぎ)
2010-09-03-FRI