怪・その12
「社宅のうわさ」


私が小学生の頃、
家族で住んでいた一戸建の社宅の話です。

その家については私達が住む以前から、
父の働く会社で奇妙な噂がありました。

誰もいない二階の廊下から足音が聞こえる。

そこに住んだ家族の奥さんが
必ず何かしらの病気で入院する。

ベランダに見知らぬ男がいる。

お祓いをしても収まらない、等々‥‥。

実際、母は完治しましたが子宮の病気で入院し、
父と私は同時に二階の足音を聞き、
弟は何度も兵隊に追いかけられる夢にうなされました。

また、ある夏の日、
私は生まれて初めて金縛りにあいました。

二階の和室の子供部屋に寝ていて
突然息苦しくなって目を覚ましました。

必死に両親を呼ぼうと目だけをどうにか動かし、
入り口の障子をみました。
廊下から漏れる明かりで障子に
男性のシルエットが映っていました。

父かと思ったのですが、違いました。
一カ所だけ穴が空いた障子から
その男性の目が覗いていました。
真っ赤に充血して人とは思えない目でした。

私は必死で目を閉じ眠りました。


朝、両親にその話をしましたが
信じて貰えませんでした。
その日、私達家族はおばあちゃんの家に帰省する為、
家を出ました。
隣の人には3日留守にすると、母が伝えていました。

帰ってきて母が隣に挨拶に行くと、
隣のおばさんにこう言われたそうです。

「あら、お帰りなさい。
 ご主人はお留守番だったみたいね。
 だってベランダにいらっしゃるの見たわよ。」

(m)
この話、こわかった! ほかのひとにも読ませたい。
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2011-08-08-MON