怪・その32
「桜の木の陰で」


もう15年も前のことです。

当時我が家は
横浜のマンションに住んでいました。
同じマンションに住んでいた
親しい友人のご主人に起こった出来事です。

ある日、友人が

「夕べうちのダンナが真っ青な顔で
 『出た、出た、』と言いながら帰って来た」

というのです。

私達が住んでいたマンションは
駅からバスで20分ほどの、
高台にありました。

日中はバスが
マンションのすぐ近くのバス停まで来るのですが、
夜中は下の国道でバスを降り、
マンションまでの坂道を
10分ほど歩いて登らなければなりませんでした。

その坂は「桜優先道路」と呼ばれていました。
名前の通り、両脇に桜が植わっていて、
桜の木の出っ張りのため、
くねくねと曲がっていました。

友人のご主人は、その夜午前0時を回って
国道からその坂を歩いて、
もう間もなくマンションに着く、
という辺りで
一本の桜の木の根元に
小学校の低学年くらいの男の子が
ランドセルをしょってしゃがんでいるのを
見かけたそうです。

友人の家にも小2の男の子と
幼稚園の女の子がいたため、

ご主人は
「きっと親に叱られて
 家を出されでもしたのだろうな」と思い、

「どうしたの?」と声をかけたそうです。

すると、

その男の子がすわったまま、

ご主人のほうを振り向いたのですが、

その子は、

肩から上に頭がなかったそうです。

そこからご主人は走ってマンションまで帰り、
家に着いた時の顔は
本当に真っ青だったということです。

(ママ友)
この話、こわかった! ほかのひとにも読ませたい。
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2011-08-24-WED