怪・その37
「黒色のロングスカート」


私が中学生だった頃の話です。

当時、寝室(勉強部屋も)が母と一緒でした。

母に背を向けた配置の机で、勉強もせず、
ノートにこっそりと、よく絵や漫画を描いていました。

そんな私は、母に忍び足で後から近づかれ、

「ちゃんと勉強しなさい!」と、
よく頭を叩かれたりしたものです。

ある日のこと、
またいつものように、私は宿題もせず、
絵を描いて遊んでいました。

その時、畳の軋む音が聞こえたのです。

縁がほんの少し凹んだのが見えたので、
あ、母が来た‥‥と思い、
絵を描くのを止めて、
すぐに、勉強をしている振りをしました。

なるべく頭を動かさないよう、
精一杯の横目で
母が居るかどうか確認したところ、
黒のロングスカート姿の足が見えました。

やっぱり…来た!
また叱られる…と思いながら
ドキドキしていました。

けれど、長いこと、
私の後ろから動く様子はなく、
母は、うん、とも、すん、とも言いません。

私はついに頭にきて、
後を振り向き、怒鳴りつけました。

「ちょっと!
 いつまで後に居るの!?
 ちゃんと勉強してるってば!」

しかし、そこには誰も居ません。

そして寝巻き姿の母は、
ベッドからビックリした様子で

「はぁ? 何言ってるの?
 私、ここでずっと、
 TV観てたけど。」と。

そうです、あの日の母は、
黒色のロングスカートなど
はいてはいなかったのです。

あの「足」はいったい誰だったのでしょうか‥‥

(ヤヘ☆)
この話、こわかった! ほかのひとにも読ませたい。
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2011-08-29-MON