怪・その39
「電車で泣く女性」
中学生のとき、
バスケットボール部に所属していました。
その日も週末の練習試合を終えて、
部活仲間10数名と
電車に揺られ家路を辿っていました。
田舎なもので、電車内はガラガラです。
部活の仲間も試合で疲れ、
ほとんどのメンバーが眠っていました。
私と私の隣に座るT君だけが、
ウトウトしながらも
起きていたことを覚えています。
終止T君はうつむいて、今にも眠りに落ちそうでした。
私と言えば、
ひとつ気になることがあり、
そこから目を離せなかったのです。
私とT君の目の前に女性が座っていたのですが、
いつ頃からいたのか、わかりません。
しかもその女性は両手を顔にあて
シクシクと泣いているのです。
目の前にそんな状態の人がいれば、
なかなか眠れる訳もなく。
(あぁ、泣いてるなぁ、彼氏にフラれたのかなぁ。)
なんてことぼんやりとひとり思っておりました。
私達の地元は電車の終着駅でした。
電車が到着し、眠っていた部員も目を覚まし、
だらだらと電車を降りていきます。
私とT君もいっしょに電車を降りました。
そして私はすぐ、泣いていた女性の話をしたんです。
「俺らの目の前でさ、
女の人ずっと泣いてたな。
あれ絶対フラれたんだって!
しかもずっと電車のったまんまだよ?
終点なのに」
するとT君が。
「女の人? 泣いてた??
俺ら以外、誰も乗ってなかったじゃん」
そんなわけがありません。
T君と私の目の前で
シクシクと音を立てて
泣いていたのです。
私はそんなことないって、といいつつ、
先ほどまで乗っていた電車を
T君と共に振り返りました。
すると、
先ほどの女性が椅子から立ちあがって、
顔を両手で塞いだまま
窓越しにこちらを向いているのです。
私は思わず、うわっと声を上げて
後ずさりしました。
しかし、T君は
「空っぽじゃん」
というのです。
そのまま電車は発車し、
泣いた女性はそのまま運ばれていきました。
その後、部活の仲間全員に確認しましたが、
泣いた女性を見たのは、
私ひとりでした。
(S)
「電車で泣く女性」
中学生のとき、
バスケットボール部に所属していました。
その日も週末の練習試合を終えて、
部活仲間10数名と
電車に揺られ家路を辿っていました。
田舎なもので、電車内はガラガラです。
部活の仲間も試合で疲れ、
ほとんどのメンバーが眠っていました。
私と私の隣に座るT君だけが、
ウトウトしながらも
起きていたことを覚えています。
終止T君はうつむいて、今にも眠りに落ちそうでした。
私と言えば、
ひとつ気になることがあり、
そこから目を離せなかったのです。
私とT君の目の前に女性が座っていたのですが、
いつ頃からいたのか、わかりません。
しかもその女性は両手を顔にあて
シクシクと泣いているのです。
目の前にそんな状態の人がいれば、
なかなか眠れる訳もなく。
(あぁ、泣いてるなぁ、彼氏にフラれたのかなぁ。)
なんてことぼんやりとひとり思っておりました。
私達の地元は電車の終着駅でした。
電車が到着し、眠っていた部員も目を覚まし、
だらだらと電車を降りていきます。
私とT君もいっしょに電車を降りました。
そして私はすぐ、泣いていた女性の話をしたんです。
「俺らの目の前でさ、
女の人ずっと泣いてたな。
あれ絶対フラれたんだって!
しかもずっと電車のったまんまだよ?
終点なのに」
するとT君が。
「女の人? 泣いてた??
俺ら以外、誰も乗ってなかったじゃん」
そんなわけがありません。
T君と私の目の前で
シクシクと音を立てて
泣いていたのです。
私はそんなことないって、といいつつ、
先ほどまで乗っていた電車を
T君と共に振り返りました。
すると、
先ほどの女性が椅子から立ちあがって、
顔を両手で塞いだまま
窓越しにこちらを向いているのです。
私は思わず、うわっと声を上げて
後ずさりしました。
しかし、T君は
「空っぽじゃん」
というのです。
そのまま電車は発車し、
泣いた女性はそのまま運ばれていきました。
その後、部活の仲間全員に確認しましたが、
泣いた女性を見たのは、
私ひとりでした。
(S)