怪・その3
「温泉旅館の夜」
お盆休み、家族で某温泉旅館に
泊まったときの出来事です。
観光地などを回って、
旅館でおいしいご飯も食べて、
あとは温泉に入って寝るだけ‥‥のはずでした。
その日はあるドラマの最終回で、
私だけドラマを見終わってから
温泉に入ることにしました。
温泉から上がって、
23時頃だったと思います。
部屋に戻るには、
ガラス張りの長い廊下を歩き、
エレベーターに乗る必要がありました。
その長い廊下は薄暗く、
旅館自体もちょっと古いこともあり、
「ちょっと怖いな」と思いながら
歩いていました。
エレベーターの近くまで来たときです。
そばに置いてある自動販売機の明かりで、
外(ガラス越しに見えるけど真っ暗)が
少し照らされて、見える状態になっていました。
ふと外を見たその時。
白い着物の女の子が、いました。
(たぶん、目が合ったと思います)
「まずい」と思い、
すぐに視線を逸らし、
エレベーターのボタンを押して
急いで家族のいる部屋に戻りました。
その出来事を話したところ、
母は
「あの廊下、
1人で通るの怖いなって思った」と言い、
叔母には「見間違いじゃない?」と
軽くあしらわれました。
しかしその翌朝、姉が一言。
「夜中にトイレに行こうと、
部屋の戸を開けたら
目の前に白い着物の女の子が立ってた」
その女の子はすぐに消えたそうです。
エレベーターに、
一緒に乗ってきたのかな‥‥。
翌朝、女の子が立っていた場所を
確認したところ、
そこは池のようになっていて、
人が立てる場所ではありませんでした。
(mK)