怪・その16
「追いかけてくる足音」
これは約3年前、
私が高1に上がる年の春休みの出来事です。
その日は部活の顧問が学校を辞めるとのことで、
卒業生や現役など、
今までの部員が揃ってお別れ会をしていました。
夜の8時過ぎ頃、中学生は帰りなさいと言われ、
先輩や後輩と帰りました。
地元に着いてから、近道をしようと、
駅のホームが見える線路際の少し狭い道を
携帯を弄りながら歩いていました。
そこで後ろから足音が聞こえました。
人通りが比較的少ないとは言え、
その道を通る人はいるので、
最初は気にせずに携帯を弄ったまま歩いていました。
しかし、足音は規則的に聞こえるのに
どんどん背後に迫ってきます。
「刺されるんじゃないか、
殺されるんじゃないか」
と本気で考える程、殺気のようなものを感じました。
でも振り返る勇気はありませんでした。
そこに本当に刃物を持った人がいても怖いし、
人が居なくても怖いと思ったからです。
そこで線路際の道の曲がり角を曲がったら、
後ろを振り返ろうと思って、
曲がり角を曲がった後、
暫く歩いてから後ろを振り返ったところ、
誰も居ませんでした。
線路際の道にはアパートや家があったので、
そこの人が後ろを歩いていたのかな?
と思い込みながら家に帰りました。
それでもやはり、あの足音の主が
見えない“何か”だったら嫌だと思った私は
母にその話をした後、知り合いの神主さんに電話をし、
今までの出来事を話しました。
何かついてきていないか、と尋ねたところ、
「ついて来てるね。
祓っておいてあげるから安心しなさい」
と言われてその場は収まりました。
母には
「だから線路際は歩くなって言ってるでしょう」
と言われました。
それ以来、暗くなってからは
その線路際は通らないようにしています。
(なっちん)