怪・その23
「寝ている耳元に」
夏の終わりの夜の事です。
その夜は寝つきがとても悪く
何回も寝返りを打っているうちに
すっかり夜も深くなってしまいました。
辺りは虫の声しか聞こえず、
私は
もう秋だなあとか
こんな時間まで起きていて明日はキツイだろうな
というようなことをぼんやりと考えていました。
少し喉に渇きを覚え、
水でも飲みに行こうかと
部屋のドアの方へ寝返りをを打った時、
耳元で
「来るよ」
という声が聞こえました。
目の前のドアを開けて何かが来るのか
それとも自分の思いもよらない形で
それが訪れるのか
私にはわかりませんでしたが、
結局その日は布団にくるまったまま、
明るくなるまで、眠ることができませんでした。
(m)