怪・その24

「止まるエレベーター」

数年前、とある病院の事務員をしていました。

夏になると定番の怪談話に花が咲くのものです。
職場が病院だけに、さぞや怖い話が出るかと思いきや、
看護師達は口が堅く、
あまり怖い話は聞けませんでしたが、
事務員の中に自称「見える」という人がいて
その人から聞いた話です。

その病院は1階と地下1階の間に機械室兼倉庫があり、
古いカルテやレントゲン写真が保管されていました。

そこは一般人立ち入り禁止で、
業務用のエレベーターでなければ
階数も表示されないし、鍵を借りなければ入れないほど、
出入りする入り口も人数も限られているところです。

その人は3階から地下1階に行くために
業務用エレベーターに乗りました。

が、
途中、機械室で
エレベーターが止まったのだそうです。

扉が開きましたが誰も居ません。

扉の向こうは真っ暗で
嫌な感じがしたので、
急いで閉まるボタンを押そうとした時

見えてしまったのだそうです。

上半身だけの男の人が
エレベーターの方に這ってくるのを。

その人はしばらくして辞めましたが、
その数ヵ月後に入った事務員も
まったく同じ話をしていました。

二人に接点はありません。

私には幸い霊感がなく、
怖い思いをしたことがありませんが、
確かに業務用エレベーターを
1階で待っている時、
地下1階から機械室に止まった後、
ついたエレベーターに誰も乗っていなくて
「?」と思ったことは何度かありました。

他にも不自然に機械室でエレベーターが止まるのを
体験した人達は結構いました。

(mK)

2012-08-28-TUE