怪・その7
「夏祭りの季節になると」
毎年夏祭りの季節になると
ふと思い出す事があります。
現在26歳になる息子が2歳ごろの話なので
もう23、4年も昔の話なのですが‥‥。
蒸し暑い夏の日の夜、夕涼みがてら
夏祭りに出かけようと
息子と手をつないで歩いていた時の事です。
街灯だけのあまり明るくない夜道のさきは
丁字路になっていて
突き当りには3階建ての家が建っていました。
その家に明かりは灯っておらず、
ひと気は無かったのですが
2階の窓は開いていました。
暗い窓を見ても、私は何も感じなかったのですが
片言ながらもやっとお喋りができるようになってきた
息子が
「あのお姉ちゃん、なんで笑っているの?」
とその窓を見ながら一言。
わたしには何も見えません。
ゾッとしながらも息子に
「どこにいるの?」
と聞くと
「ほら、あそこ。笑ってるよ!」
と間違いなくその窓を指さしました。
一体彼には何が見えていたのでしょう?
今の彼に聞いても、憶えていないそうです。
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