怪・その8

「角地のレストラン」

これは、私が実際に体験した話です。

私は大学生の頃、
新宿駅から少し離れた所にあるレストランで、
ウエイトレスとしてアルバイトをしていました。

ある日の夜のことでした。

忙しい時間が過ぎ、
疲れを感じてぼーっと立っていたら、
白いワンピースを着た女性が
お手洗いに入っていきました。

このレストランにはお手洗いが一つしかなく、
その女性が入った後にすぐ、
他のお客さまがお手洗いに入ろうとしたので、

「申し訳ございません、
 ただいま他のお客さまが
 入っていらっしゃいますので‥‥

と伝えました。

しばらくして、なかなかお手洗いから
お客さまが出てこられないので、
もう一人のウエイトレスに、

「さっきお手洗いに
 女性のお客様が入っていかれたよね?」

と確認すると、

「え? そんなお客様いらした?」

と言いました。

私は恐る恐る、戸をノックし、
返事が無いのを確認した後に、
ドアノブをにぎりました。

すると、
閉まってるべき扉が開いたのでした。

もちろん、中には誰もいません。

その瞬間、
お客様の服が白いドレスであったことを思い出し、
ゾッと身の毛がよだちました。

シェフにその話をすると、

「ここは角地だからね。
 そういう霊の通り道なんだよ」

と言っていました。

(O)

こわいね!
2014-08-08-FRI