怪・その10
「暗い登山道」
今から30年近く前の事です。
寄り道しながら友達と帰るのが楽しくて、
近くの山(と言っても登って降りて
30分もかからない山です。)
の山登りも寄り道コースにしていました。
山の中腹には
ちょっとしたお社があります。
中三男子3人で晩秋に登りました。
明りもなく暗い山道は
ちょっとした探検気分でした。
しかし怖がりの私は
暗いために、
もう帰りたい気持ちで一杯でした。
ようやく電灯がついているお社まできたところで
心が安心してしまい、
それ以上登る勇気が持続しませんでした。
そこで、一人そのお社で
二人が頂上まで行って帰ってくるのを
待つ事にしました。
(よくよく考えると
一人の方が怖いはずですが‥‥
その時はそう思ったのです。)
山頂に行って帰ってくるまでの時間は
頭に入ってますから、
長くても5分ぐらいだと待ちました。
しばらくして、道の上の方から
枯葉を踏みしめる音が近づいてきます。
その時、ちょっと驚かせてやろうという
いたずら心が働きました。
お社の裏手に隠れてみたのです。
落ち葉を踏みしめる音が
直ぐそばまで来た時に
裏から飛び出しました。
「わっ」
しかしそこには誰もいませんでした。
怖くなって急いで
麓の国道まで一気に駆け下りました。
少しして、二人が麓まで降りてきました。
誰の足音だったのか。
今でも帰省のおり、
その山に行くと、なんとなく思い出します。
(スー吉)