怪・その12
「ドアを叩く音」
怪談ではないかもしれませんが、
今から、45年ほど前の話です。
夏休みになり、
田舎から小学生や小さな従兄弟たち、
3人兄弟が私の家へ遊びに来ていました。
映画を観たり、泳いだりして、
遊び疲れたので泊まっていくことになりました。
みんな、ぐっすり眠り込んでいた
夜中の3時位に、玄関のドアを
ドンドンを叩く音がすると、気か付いた母が
ドアを開け外へ出てみるのですが、誰もおらず、
いたずらかと思い、戻って布団に入ると、
又、ドアを叩く音がし、外へ出ると、
誰もいなかったそうです。
ただ、肩のあたりが、
急に重くなったのを覚えているそうでした。
そして、数時間たった朝、
取乱した叔母から電話が入り、
叔父(従兄弟たちの父親)を朝、起こしに行ったら、
叔父が息をしていない、との連絡でした。
葬儀やなにかでバタバタし、暫くたった後で、
その事を思い出した母が、皆に話をしました。
ドアを叩く音はきっと、
叔父が出かけていた子ども達に最後に、
会いに来たのだろうと。
不思議な話しですが、叔父の子供達への愛情を感じ、
私の中では、温かい記憶で残っています。
(はな)