怪・その14

「北側の部屋」

わたしは小学生の頃から結婚するまで
県営住宅住まいでした。

今でも母と妹が住んでいますが、
15年以上住んでいる我が家は、
住み始めた頃からずっと
「出ている」みたいです。

わたしは全く霊感はありませんが、
妹が少しだけ
見えないものを感じる力があるので
そのことを知りました。

我が家はあまり広くないので、
ずっと妹と二人部屋で、
二段ベッドで寝起きしていました。

住み始めた頃、上段で寝ている妹が
下段で寝ているわたしに
夜中に声をかけて起こしてきました。

妹「お姉ちゃん! 起きて! 起きて!」

わたし「どうしたの〜?」

妹「今日は上と下交代して寝てみない?」

わたし「?? 別にいいけど〜?」

こんな具合で、深く考えることもなく
寝場所を交代して眠りました。


翌朝、妹に理由を尋ねてみると。

妹「だって、本棚と天井の間に人が座ってて
怖かったんだもん!」

本棚の天板と天井の間の
50センチほどの隙間に、
成人男性ほどの真っ黒い影のような人が、
体操座りをしたまま
横向きに寝た状態で
ピッタリおさまっていたのだそうです。


そんな怖いものが見えてるなら、
わたしを上段に寝かせるな〜!
と思ったものです。


先日妹に会った時に
「最近まだ出る?」と聞いたら、

妹「前ほどじゃないけど出るよ。
この間は夜中にわたしの勉強椅子に座ってたよ」

ただの全身真っ黒い人影が
部屋のあちこちに出るのですが、
なぜかわたしと妹の過ごした
北側の部屋ばかりに現れます。

妹はすっかり慣れてしまって
怖いと思わなくなった、と言っていました。

(kanoko)

こわいね!
2014-08-15-FRI