怪・その18

「暗いはずの廊下」

小学6年生の夏のことです。

所属していた野球チームの
レクリエーションで、
あるキャンプ場へ行きました。

ところが着いたとたんに大雨に。
すぐ近くにあった、
廃校になった小学校で
一夜を過ごすことになりました。

夕食のあと、
定番の肝試しがはじまりました。

そこの体育館には
出入口がふたつあって、
一方から出ると、
校舎をぐるっと一回りして、
別の出入口から
戻って来られるのです。

夜の学校、しかも廃校ですから
怖さも倍増です。
みんなキャーキャー怖がりながら
戻ってきました。

やがて僕の番になりました。
僕は体育館を出ると、
すぐに2階に上がりました。
急いで先回りして、
先に出発したキャッチャーの友人を
待ち伏せして驚かせて
やろうと思ったのです。

着いてすぐに校内を探検していたので、
位置関係は把握していました。
2階は真っ暗でしたが、
すぐにスイッチが見つかり、
廊下がぼんやりと明るくなりました。

僕は猛ダッシュで廊下を走り、
階段を駆け下りました。
物陰に隠れ、
息を殺して待っていましたが、
しばらく待っても
誰もやってきません。
先に出発したキャッチャーの友人はおろか
後に来るはずの仲間も。

おかしいな‥‥と思って
体育館に戻ると、
警察まで巻き込んだ
大騒ぎになっていました。

なんと僕は、
行方不明になっていたのです。
時計を見ると夜中の11時過ぎ。
肝試しを始めたのが8時過ぎ、
僕が出発したのは
8時半くらいでした。

わけがわかりませんでした。
隠れていた時間を含めても
15分くらいのはずです。
どんなに説明しても
わかってもらえるはずもなく、
引率の監督やコーチから
ひどく怒られました。

眠れなかった一夜が明けて、
友達と一緒に恐る恐る
2階に上がってみました。

特に変わったところはありません。
首をかしげながら見回して、
あることに気づきました。

2階の廊下は、
蛍光灯が全部取り外されていたのです。

(無頼庵)

こわいね!
2014-08-19-TUE