怪・その10
「深夜の飲み会」
つい先日
ジメジメと暑い梅雨の夜。
もう深夜一時を過ぎた頃だったでしょうか。
床について一時間以上経つというのに、
あまりの蒸し暑さになかなか寝付けず、
ゴロゴロと布団の上を転がっていました。
朦朧とする頭の中で、
明日の予定なんかをボーッと考えていると、
「ガヤガヤガヤ‥‥‥」
窓の外から飲み会でもしているような
騒ぎ声が聞こえてきました。
わたしが住んでいる近隣には大学生が多く、
普段からそういった声は聞こえていたので、
あまり気にはしなかったのですが、
そのうちやけにはっきりと
三人くらいの会話が耳に飛び込んできました。
「あれ? こいつもう寝てんの?」
「え〜〜、ノリわるっ!!」
「よっしゃ! 起こしたろか!」
わたしは
「あー、誰か酔い潰れて寝ちゃったんだろうなぁ」
と思い、聞き流していたのですが、
「じゃあいくで!いっせーのーでっ!」
と掛け声が聞こえた、その瞬間。
グンッ!!!
寝転んでいたわたしの体が
一気に頭上に引っ張られたのです。
あまりの出来事に叫び声をあげてしまい、
周りを見回しましたが誰もいません。
そしてさっきまで聞こえていた騒ぎ声も
聞こえなくなっていました。
いま思うともしかしたら
半分眠った状態で見た
夢だったのかもしれませんが、
引っ張られた感覚と力の強さは
今でも忘れられません。
あれはなんだったのでしょうか。
(とつ)