怪・その22

「あーあ、行っちゃった」

塾の先生から聞いた話です。

休日、3歳の娘さんと自宅で遊び疲れ、
うたたねしてしまった時のこと。

うとうとしている先生の足の裏を、
娘さんがふざけてくすぐってきました。

「まだ遊んで欲しいのかな?」
そう思って起き上がろうとした時、
ふと隣を見ると、娘さんは熟睡しています。

しかし、足元には

娘さんの頭だと思った

黒い髪の毛のような塊がうごめいています。

怖くなって思いっきり蹴飛ばしたところ、
その塊は猛スピードでコロコロと転がりながら
カーテンを駆け上り、
パッと消えてしまいました。

駆け上る時、
小さな手足のようなものが見えた気がしました。


さらに翌朝、先生が玄関先で
ゴミ出しをする準備をしている奥さんを
それとなく見たとき、

昨夜の黒い塊がふわふわ宙に浮いて
奥さんの腰あたりにまとわりついていました。

ぎょっとしたのもつかの間、
奥さんが玄関の扉を開けたら
その隙間から外に出て行ってしまいました。

その様子を一緒に見ていた娘さんが、

「あーあ、行っちゃった」


「目撃したのは一瞬のことだったし怖かったけど、
 嫌な感じはしなかったんだよ。
 水木しげる先生の描いている
 『まるげ』という妖怪に似ているんだけど、
 そっちは赤色なんだよなぁ」

とおっしゃっていました。

それ以来、一度も見かけていないそうです。

(mikko)

こわいね!
2015-08-19-WED