怪・その27
「2階電話事件」
あれはまだ私が高校生で
我が家に黒電話があった頃です。
隣接する納屋の2階に
二つ違いの兄の部屋があり
レコードやら漫画本やら
楽しいモノ目当てに
居座ってるのが常でした。
その日も帰宅してから
夕食までの間
寝そべって漫画本をよみふけっていると
不意に
「コン、コン」と
サッシのガラス戸を叩く音がしたので
「誰〜?」と言いましたが、
返事がありません。
空耳かな?
とまた本に目を落としたら
更に
「ドン!ドン!」と
さっきより強く叩く音が。
私も大きな声で、「なに!」と言うと
「でんわ‥‥」
何だ電話か、と階段を降りて
母屋に入り
居間の黒電話の所に行くと
受話器が降りたままです。
あれ? 何? どうしたんだ?
すぐ側に居た兄に
「今、電話って言うから来たのに」
と言うと
「え? 電話なんか来てないよ」
はー?!
確かに声が聞こえたよ、女の人の声だった。
でも母の声じゃなく、
もっと若いような‥‥。
あれは兄にあてた声だったのかしら、
電話してねっていう想いが高じた、生霊の。
我が家では「2階電話事件」として
お盆の風物詩的な思い出話となっております。
(たまじろう)