怪・その25
「小さな池の近く」
歩いて15分ほどのところにある
本屋からの帰り道のことです。
まだ日が高く、明るかったのを覚えています。
本屋から家への途中には小さな池があり、
車はたくさん通るので
にぎやかな道ではありますが、
なんとなく気味が悪いと思っていました。
さっさと通り過ぎようと、
少し足早に家へと急ぎました。
ですが、
池を半分ほど通り過ぎたところで、
突然
私の足は動かせなくなりました。
ぐっと足を押さえられているようでした。
道の脇に生えた草が
足に絡んだのかと確認しましたが、
足にはなにもついていません。
私は驚いて、
何度も何度も足を思い切り引っ張り、
ようやく動くことができました。
そこからは後ろを見ず、
小走りで家に帰りました。
家に入り、玄関を閉め、鍵もかけて、
ジーパンの裾をめくってみると、
足首には
くっきりと手の跡がついていました。
なにかが私の足を掴んでいたのです。
もしかしたら、
池に引き摺り込もうとしていたのかもしれません。
池の近くに住んでいた友達は、
自宅の階段で
女の生首を見たことがあるそうです。
あの池にはなにかあるのかもしれません。
(m)