怪・その27
「すぐ潰れてしまう店」
街の中に、すぐ潰れて
テナントの変わってしまうお店って
一つ二つ、ありますよね。
地元の駅前にもそんなお店があって、
私の知ってる限りでは
カメラ屋さん→学習塾→八百屋さん
→スナック→スナック→中華料理屋さん
という変遷を辿っていました。
寒い冬の日のことです。
お店の前を通りかかると、
二つ目のスナックがお店をたたみ
引っ越し荷物を
搬出しているところでした。
トラックの後ろに
浴衣姿で
ベロンベロンに酔っ払ったお爺さんが
座っているのです。
私は
「お店の常連さんかな。
そんなにトラックにくっついて
泥酔していたら危ないのに、
お店の人注意しなくていいのかな?」
と思いながらも、
あまりジロジロ見るのも失礼かと
足早に通り抜けました。
そしてその瞬間思ったのです。
「いやいや、お爺さん灰色だった。
ていうか、今、2月じゃん。
こんな寒いのに浴衣一枚なわけない。」
そのまま、
振り返って確認することは、
できませんでした。
その後の中華料理屋さんは
4年ほど続いています。
あのお爺さん、
よっぽどスナックを気に入って
ついてっちゃつたのかな‥‥。
(タコス)