怪・その34
「実家は違っていた」
この春結婚し、
住み慣れた実家を出て
主人と暮らし始めました。
実家を出るまでは当たり前だと思ってた事が、
違っている事も多く、まだまだ戸惑う事もあります。
わたしの実家は、昔からある土地で、
家は元々は診療所の様なところだったそうで、
そこを曽祖父が買って住んでいました。
25年程前に建て替えて住んでいたのですが、
全体的に薄暗く、リビングが一番暗いのです。
一人でリビングにいると、
必ず階段や廊下、仏間の方から、
ピシッとかパンッとか
ラップ音の様なものが聞こえてきました。
絶えず音がしているので、それが通常でした。
また実家には子供部屋と仏間、
祖父母の部屋のそれぞれに
電話の子機が置いてあり、
子機が使われると親機のディスプレイに
『コキ 2 シヨウチュウ』
と表示される様になっていました。
ある夏の日でした。
家族揃って夕飯を食べていると、
親機のディスプレイが光り、
子供部屋の子機が使用中であると表示されました。
もちろん家族は、全員そこに居ます。
父親が見に行ってくれましたが、
何もないの一言で片付けられ、
何かの拍子にずれたのだと言われました。
でも、ズレるようなものでもないし、
周りには倒れてくるような物も
置いていませんでした。
またある日は、怪談好きな友達と
仏間で怖い話をしていると、
いきなり襖がバンッと、
誰かに叩かれたような音がしました。
騒ぎすぎて母親が怒ったのかな?
と思いリビングを見ると、誰も居ませんでした。
今は、明るく静かな家に住んでいるので、
今度から実家に帰るのが、少し怖いです。
(mi)