怪・その16
「回ってるよ!」
あれは、24年も前の大晦日に体験した事です。
当時、お寺の墓地の裏にある古い借家に、
夫と幼稚園に行っている娘と
まだ赤ん坊の息子と4人で暮らしていました。
夫は老人ホームの職員で、
その夜は夜勤で不在でした。
除夜の鐘がお寺で鳴り響くのを聞きながら、
子ども達と布団に入ってうとうとしていると、
娘が急に、
「おじちゃんが回ってるよ」
と言い出しました。
私は眠くて眠くて、
返事もしなかったのか、娘がまた、
「ねえ、おじちゃんがいるよ! 回ってるよ!」
と繰り返し訴えました。
私は早く寝たかったので、
「それはお父さんだから大丈夫だよ〜」
と目も開けずに
いい加減に返事して寝てしまいました。
当の娘は「お父さんだよ」と言われて
納得できなかったようですが、
うやむやのまま寝てしまったそうです。
次の日、目が覚めた私が昨夜の事を聞くと、
レゲエ(?)の様な、
インディアンの様な格好で
メガネをかけた男の人が正座した状態で、
空中を回転していたと言うので、
お正月早々ぞーっとなりました。
墓地の裏に住んでいたせいでしょうか?
(ニャオン)