怪・その21

「ズルリと抜ける」

連日の猛暑の中、
元気に自転車をこぐ高校生を見て、
ふと思い出した体験があります。

高校生の頃、学校に部活、アルバイトと、
今思えば多忙な毎日を送っていました。

学校から帰り、
アルバイトまで少し時間があったので、
ソファに横になり眠るでもなく
目を閉じていました。

20分ほどそうしていたら、
つま先の方から

ズルリと何かが抜ける感覚があり、

ビックリして起きようと思った時には、
金縛りになっていました。

初めてだったので、まぶたも開かず
指ひとつ動かせないことに
焦ったのをよく覚えています。

そうこうしているうちに、
膝のあたりまで
ズルズルと抜けている感じがしてきました。

このままいくと、
体の中身が全部抜けちゃうな、

と思い、戻り方がわからないので、
これ以上は抜けられない、
とりあえずどこか動かそうと思いました。

とにかく指先に集中して、
動け動けと念じました。

すると中指の先がピクッと動き、
なんとか目も開けることができました。

足元を確認したところ、
きちんと足はあるし、
もちろん何も出てはいませんでした。

夢を見たのだとは思いますが、
もしこれが幽体離脱だとしたら、
抜けていくものは、
フワフワとした軽いものではなく、
皮1枚残した体の中身かもしれません。

(もも蔵)

こわいね!
Fearbookのランキングを見る
2018-08-07-TUE