怪・その20
「供養の旅行」
それは去年の冬、
東北のとある温泉に行った時のことです。
この温泉には仲の良い友人4人と行ったのですが、
もともと行くはずだったメンバーのひとりが
9月に急に亡くなり、
代わりに共通の友人を誘って行ったのでした。
温泉行きもどうしようか悩みましたが、
亡くなった彼女が行きたがっていた温泉だし、
供養のためにも行こう、ということになりました。
雪も積もって風情のある旅館で、
彼女のために陰膳など据えて、
思い出話などして夜も更けていきました。
寝る前にもう一度お風呂に入って、消灯。
翌朝早めに起きた友人が
「何これ!亅と
浴用タオルを干した場所を指していました。
タオルが5枚干してあり、
1枚がびしょびしょになって
床が濡れていました。
誰もタオルを絞らないで干した人はいません。
みな、
「あ、Oさん(亡くなった友人)来たんだね!亅
と言って頷いていました。
不思議と怖くはなかったです。
(山ちゃん)